ソニー生命保険の海外子会社から約170億円を不正送金したとして、詐欺罪などに問われた同社の元社員石井伶被告(33)の論告求刑公判が5日、東京地裁(小林謙介裁判長)であった。

検察側は「空前絶後の巨額詐欺事件だ」と述べ、懲役10年を求刑した。弁護側は情状酌量を求めて結審し、判決は11月18日に言い渡される。

 検察側は論告で、石井被告が米国との二重国籍を利用し、海外逃亡も考えていたと指摘。「規範意識が鈍麻している」と非難した。弁護側は、結果として50億円余りの利益が出たことから会社に損害を与えていないと主張。石井被告は「本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。一生かけて償う」と述べた。