0001それでも動く名無し
2022/10/06(木) 13:21:40.21ID:2DHF4YL10https://news.yahoo.co.jp/articles/e8345a3033b5986d5f1885b9f9b423c4e45c7972
「正直言うて、もう来てほしありません」。あるお茶屋の女将はコロナ前を思い返し、こう漏らした。
舞妓が行き交う京都の花街は、訪日客に絶大な人気がある。最大の花街・祇園甲部がある東山区の祇園町南側地区では、写真を撮るために舞妓を追い回したり、私有地に無断で入ったりする観光客が後を絶たなかった。地域の協議会でマナー啓発の高札を立てたものの効果は薄く、一時は無許可撮影に対し「1万円申し受けます」と明示するまで厳罰化した。
インバウンドが復活すれば、我慢の日々に逆戻りするのでは―。こうした不安を抱く市民も少なくないのも事実である。
■日本人の観光にも懐疑的 清水寺の覚悟
京都で最も観光客が訪れる寺院は、コロナ前後の街をどう見つめてきたのか。清水寺(東山区)で生まれ、現在は執事補を務める森清顕さん(46)は、コロナ禍で生まれた「空白」の2年は観光公害を総括するべき時期だったと感じている。
清水寺でも参拝前に手を清める水をタオルに浸したり、水筒に入れたりする訪日客がいた。森さんは「文化の違いは仕方がない。日本人もかつて同じようなことを海外でしてきたと思う」と受け止めつつも、「これを繰り返してはならない。元に戻れば、京都の観光資源が摩耗していくだけです」と訴える。訪日客だけでなく、懐疑的な視線は、日本人を含む今の観光の在り方そのものに向く。「インスタ映えを狙って『行った』『見た』『食べた』というスタンプラリーのような薄っぺらい観光のままでいいんでしょうか」
2020年から寺を訪れる人向けに始めたのは、夜の閉門後に少人数が仏前で誓いを立てる特別な参拝だ。時間と手間はかかるが、「布教が一番の仕事で、寺の本義からずれてはいけない。これからは文化を深く知ってもらうことこそ重要です」と語る。
コロナ禍の2年は、京都にとって「観光公害」に再び向き合う貴重な猶予の時間となった。この間にたどり着いた知恵や手だてで難題は乗り越えられるのか。インバウンド復活と同時に、それは試されることになる。