三島由紀夫
「自殺をすれば、国民貯蓄課の属官たちはかう言ふにちがひない。
 『前途有為な青年がどうして自殺なんかするのだらう』
 前途有為といふやつは、他人の僭越な判断だ。
 大体この二つの観念は必ずしも矛盾しない。未来を確信するからこそ自殺する男もゐるのだ。」