尾田栄一郎「僕はファンタジー嫌いなんで死んだキャラは絶対に生き返らせません。」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
僕は、こてこてのファンタジーは好きじゃないんですよ。
だから話の中で細かく色んなことに理屈をつけたいんですけど、死んだ人が生き返るぐらいだったら、最初から死ななきゃいい。
死ぬような目にあっても、うちのキャラクターは死なないんです。
漫画の世界だと、昔から、壁にぶつかって人型の穴が開いてたって死なないじゃないですか。
そんな恐ろしい目にあったら、ふつう死にます(笑)。
でも、そういうことが起こっても死なないのが、漫画のキャラクターの良さというか強みなんで。
それと、死んで生き返るというのは、作者の意図が感じられて子供の頃から嫌だったんです。
「人気があるから復活させたのかな?」と、子供ながらに疑ったり…。
昔おかしいと思っていたことはやらないし、こうして欲しかったということはやる。
10年連載を続けていても、判断基準は同じ。
15歳ぐらいの、読者時代の自分が納得するかどうかに尽きますね! 人が死んだから泣くってね、感動じゃないんじゃないかと思うんですよ。
お葬式に行ったら皆泣くでしょう。
その涙と同じなんですよね。漫画の中でキャラクターが死ねば、悲しくて涙が出るんです。
僕もそういう涙を描かないわけではないけれども、それを描くときは「この涙は悲しみの涙だ」と、涙の種類を区別してます。
「感動の涙」は、それとは別なんです。
僕の漫画のキャラクターは、耐える時間がものすごく長いんです。
涙に盛り込んだドラマの数も他とは違うと思っているんですけど、とにかく、辛いことがあったぐらいではまず泣かない。
もっともっと辛いことがあってもまだ泣かない。
耐えて、耐えて、そして優しい人が現れた時にやっと出てくる涙っていうのはもうしょうがない!
しょうがないと僕が思えた時にやっと泣く涙が「感動の涙」なんです。
その時は僕も泣きながら描いてます(笑)。
自分が泣けない話では人は泣かないと思っているし、嘘でキャラクターに涙を流させるようなことはしたくない。
アフィは読者に失礼だと思うんです。
ただ、描きながら泣いたからといって、僕の感情の全部が伝わるとは思ってません。
漫画ってだいたい、10伝えようとして1しか伝わらない。
だったら、10伝えるためには100のものを描かなきゃならない。
それぐらい過剰アフィな気持ちで描いています。 ファンタジーじゃなきゃ絶対死んでるだろ、って奴が生きてないですかね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています