戦後南米に逃亡した元ナチスの高官は、ルドルフ・ヘスについて次のように語っている。

「ヘスはイギリスとの戦争を避けなければならないと信じていた。真の敵はイギリスではなくソ連と信じていたからだ。

だからイギリスとドイツが一緒になってソ連に対抗するような状態を彼は作ろうと努力した。イギリスの海軍力とドイツの陸軍力がガッチリと組めば、どんな敵でも倒すことが可能だったからだ。これを実現させるため彼は単身イギリスへ飛んだ。独ソ開戦の直前だった。

彼には勝算があったようだ。というのは彼はその頃、秘密結社『トゥーレ協会』のメンバーだった。この結社の兄弟グループみたいなものがイギリスにもあった。『黄金の夜明け団』と呼ばれる結社だ。その有力メンバーにハミルトン公爵がいた。ヘスは彼とは親しかった。ドイツを発つ前、彼はハミルトン公爵に打診してみた。答えは前向きだった。そこでヘスはドイツを発ち、闇にまぎれてイギリスにパラシュート降下したのだ。

しかし、そううまく事は運ばなかった。チャーチルの横やりが入ったからだ。

もちろんチャーチルの後ろには、国際ユダヤ組織と大銀行団の圧力があった。ヘスは戦争中捕われていたから、戦犯では断じてない。しかし、戦後もずっと独房にぶち込まれていたのは、彼がアイヒマン同様、ユダヤの世界戦略について知りすぎていたからだ」

 


(左)イギリスのウィンストン・チャーチル首相
(右)「黄金の夜明け団」の薔薇十字徽章

 

●ルドルフ・ヘスの「奇行」の一件で激怒したヒトラーは、ドイツ国内にウォールがまき散らした「プロパガンダ用占星暦」を一掃する作戦に出た。

またドイツの占星術師までが、ホロスコープから“敗戦”を読み取り始めていたので、ヒトラーはドイツ国内の占星術師をも弾圧・一斉検挙した。