目の覚めるような弾道だった。
日本海はおろか、日本列島を通過した一発は太平洋へ着弾。
これを放った張本人"北の将軍"金正恩(38)の口から出てきたのは、日本の若き大砲への賞賛の言葉だった。
「素晴らしいホームランアーチスト。20代に差し掛かったばかりとは思えない技術だ」
と今季56号本塁打を記録した村上を持ち上げたが、今年38歳のベテランは褒めるだけでは終わらない。
「負けてられないよ。いい年して何を、と思うかもしれないが、彼のプレーを見てると、チャレンジ精神を忘れてはいけないと思い知らされるんだ」
四番定着後はコンスタンスに本塁打を積み上げていた正恩だが、昨季は僅か7本。しかし今年、既に42本を数えている。正恩は言う。
「ムネのおかげさ。彼の一発には奮い立たせるようなメッセージすら感じるよ。『正恩、それで終わりなのか?』ってね」
「シーズンはまだ終わっていない。これからも一つずつ積み重ねるよ」

正恩の目は遥か遠く、アメリカ大陸をも見据えているようだった。