室温は104度、113度、127度と上っていく。
温度計が狂っていないことを確かめるため、また熱がどれほど強烈かを示すために、
室内に生のステーキ肉と生卵を置いてみた。卵が固く焼けるまでに約20分。ステーキ肉は33分で焼けすぎの状態になる。
もう一枚の肉に、ふいごで部屋の空気を吹きつけてみたところ、その肉ははるかに早く、13分で焼けた。
びんのなかのワインは沸騰し、一滴残らず蒸発する。
(略)
最後にチャールズ・ブラグデンが服を着たまま、これまでで最高の127度近い温度に挑戦した。
ブラグデンはその7分後にこう書いている。
「不安になるほどの圧迫感を肺に覚える。それが1分もたたないうちにしだいに強まっていったので、
実験を終わらせるのが何より賢明であると考え、ただちに部屋を出た」
部屋から逃れたブラグデンの心拍数を計ると、普段の二倍以上になっていた。
それなのに、実験した男たちの体温は37度を超えることがない。

自分の体で実験したい 第1章 あぶり焼きになった英国紳士たち