「こんにちは」と現れたロマンスグレーの吉井新監督は、えんじ色のネクタイだった。落ち着いた装い。「自分の頭でしっかり考えて、自分の責任のもとに行動して、それが勝利につながる。そういう選手になってほしい」。約20分の会見は新リーダーの熱い思いを柱にすえた。

 シーズン終了後すぐに打診され、ひと晩考え「断る理由は本当にないので」と決断した。2年間投手コーチを務め、今季は背広組のコーディネーター職。日本ハムのコーチ時代も含めて客観視してきたロッテの伝統を、ド直球で指摘した。

 「マリーンズのチームカラーは、手が付けられない時は本当に手が付けられないくらい強いんですね。で、ダメな時は本当にダメなんですけど」

 完封負け21試合、2ケタ失点11試合。ダメな時、が如実な今季は5位に終わった。「その差をなくしたい」と話す。「若手たちはまだ自分の特長をよく知らない選手がたくさんいて、出来もしないことを一生懸命やっている。それで実力を出せていない選手がいる」。会見に先立って赴いたフェニックスリーグでは、既に選手間の青空ミーティングを導入。現実から逃げないことを求める。

 自身も正面に立つ。「指導者と選手は、本当は対等じゃないといけないと思ってて」。実力も声も、出しやすい環境を-。「まだ慣れていないところもあるんですけど、監督と言われるのはすごくくすぐったい。監督と呼んでも、頭の中でカタカナで『カントク』って言ってる感じくらい、親しみ込めて呼んでほしいなと」。21番のユニホームを渡されると第3ボタンから留め、なぜかボディービルのポーズまでした。選手の色、カントクの色。混ぜて、練りに練り、濃厚なロッテを目指す。

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