ヤフーは10月18日、Yahoo!ニュースのコメント欄(通称:ヤフコメ)の投稿に携帯電話番号の設定を必須にすると発表した。実施は11月中旬予定。

同社によると、不適切なコメントを繰り返し投稿してコメントの「投稿停止措置」を受けたユーザーのうち、携帯電話番号の設定がないIDの割合は5割以上と高水準になっているという。

2022年10月1日には、改正プロバイダ責任制限法が施行され、投稿者特定のための情報開示が迅速化されることが期待されている。携帯電話番号の登録が必須になることで、発信者情報開示に影響はあるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

——2022年10月1日には、改正プロバイダ責任制限法が施行されました。どのような影響がありますか。

発信者情報開示請求では、電話番号の開示請求も可能となっており、ヤフーなどサイト側に電話番号が登録されていれば、これまでよりも開示のための時間と費用は抑制できる可能性があります。

これは、プロバイダ責任制限法が改正されたことが大きな理由です。実際に開示をしてもらうには裁判において開示が命じられないといけないとは思いますが、プロバイダ責任制限法改正によって、「発信者情報開示命令事件」という新しい裁判手続が定められました。

電話番号の開示を受けるには、これまでは通常の裁判手続を用いる必要がありました。通常の裁判では、訴訟提起から約1か月後に第1回目の裁判、その後約1か月ごとに裁判が行われ、結審まで早くて3か月程度、その後判決まで早くて1か月程度かかりました。

しかし、新しい「発信者情報開示命令事件」では、口頭弁論という手続きを行う必要がなく、審理方式について定めがありません。その結果、どのくらい争われるかにもよりますが、審理期間を2か月程度まで短くできるのではないかと思われます。

また、電話番号については、IPアドレス等のように削除されていくものではないので、時間的制約も大幅に緩和されることになります。
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