桑田氏が気にしていたのは、今年、新人投手として最多タイとなる37セーブをあげた大勢(23)の起用法だった。

「桑田さんは大勢を球界の宝として大事に育てたいと考えていました。
まだプロの肩が出来ていないのに、酷使してはいけないと。 
自分も、10シーズン目に無理に投げ続けたことなどが原因で、右肘に側副靭帯断裂の重傷を負いトミー・ジョン手術を受けた経験がある。
本人の将来のためにも無理をさせたくないと考え、原監督が連投を希望しても反対し続けてきた」(巨人番記者)

チームの不振が続くと原監督も背に腹を代えられなくなる。
6月には連投を解禁し、終盤の9月に入るととうとう3連投を解禁すると発表した。
それに不満を持った桑田氏は、9月中旬のある練習日、意を決して、番記者を前に「原批判」を始めたのだった。
桑田氏は「個人的な考えです」と前置きしながらこう語り始めた。

「大勢は新人ですから、僕はキャンプの時から3連投と『回またぎ』はさせないと決めていた。
メジャーではルーキーに対してそんなことありえませんから。
僕は根拠を持ってそう考えてきましたし、学ぶべきところはメジャーからも学ぶべきだと思うんです。
ただ、最終的に決めるのは監督なので……」

あからさまな監督批判だった。そして、こう続けた。
「チームの勝利は大事ですが、彼には将来もある。そもそもプロの世界で1年間投げたことがないんですよ?
初めての経験ですから、彼の将来を考えるなら、僕はそうしてあげたいと思っていたんですけどね」

桑田氏はここまで言うと、「あとは察してください」と言って立ち去った。