古明地こいし「そこわたしが座ってた」客「?」こめこい「そこわたしがすわってた!😡」
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客「チッ…」スッ
古明地こいし「!!!!😡」
古明地こいし「ありがとう😊」
何(どこ)に座ってた? それ地下鉄のホームの椅子で
雑誌集めてる浮浪者にこれ言われたわ
「だから?」
と言ったら去って行ったけど
こんなんにそんなこと言われたこと自体に
数少ないプライドが傷ついたわ >>64
こみこい、な?
だいたいはそれで通っとる スレ保持数多い板ならNGすればええだけやから害少ないガイジやけど
保持数極端に少ない旧なんJやなんGではタロイモガイジのせいでただでさえ少ないスレ保持数が実質-1になるから害悪やわ >>134
言うほど面白いスレがあるわけじゃないのでセーフ >>180
知ってる限りでは先月29時間近く続いてるスレあったで >>220
どっかで20連投くらいするガイジが現れそう >>225
昼の14:00から翌日の19~20:00くらいや AIの絵ってほんまつまらんのな
死ねやクソタロイモ >>241
だから出来るもんならやってみろって言ってんだろカス >>134
落ちそうになったら50秒にタロイモってレスするだけのスレに勢いで負ける方が悪い この末尾aってタロイモ本人?
思ったより攻撃的やな You Tubeでスラムダンク見てるから実況してもええか? タロイモガイジに釣られて保守ガイジが生まれてるの草や おーい普通に喋れるんならレス見てニヤニヤしてないで喋ろうぜ! >>273
何の意図があって保守してるのもわからんし異常すぎる タロイモガイジに聞きたいんやがお前は二代目なんか? >>278
そんな糞みたいなレスして悲しくならんの?
お前の人生なんなん? タロイモガイジ媒介にして毎回このスレで新しいガイジ産まれてるの怖過ぎやろ なんでこいつの立てるスレっていつも聖域になったりするん >>332
NGスレ登録されてる名前で立てるからじゃね タロイモガイジが別のヤツ煽って釣られてる奴が連投して保守してる間はピッタリ書き込み止まるの怖すぎるやろ
寄生虫に行動支配されてる虫みたいやな 🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮 >>320
もう終わりかよ
1番しょーもないのは他人の掌で踊らされてるお前だよ スレタイ、「こみこい」だからな。
偽物が二度と建てるなよ >>366
にわかなので知らないんですが、なんで「こ"め"こい」じゃなくて「こ"み"こい」なんですか?🤔 >>376
最長記録は14:00過ぎから翌日の19~20:00くらいが最高記録です タロイモはオコエスレじゃねえの
オコエ母「オコエーご飯よー」何が出てきた?の奴 ふと開いたら朝の9時からあって草
これ流石にスクリプトだよね? 寝なけりゃ余裕で完走出来るやろな
やきうも無いし岸田がレイプでもされない限りは >>426
自分で保守したりアホを煽って保守させたり >>430
ID:D0PLNGDe0はどうすればその保守を効率的にできるのか知りたいんだと思う
もうちょっと詳しく教えてあげたら🤔 >>432
ほな教えたるけど保守目的のレスは一定のタイミングでレスしとるんや
タロイモレスの秒数見ると全部50秒付近やろ? 勢いとかでスレが圧縮されないタイミング計算してレスしてるんだっけ 5/14やないのに何でスレ維持してるんや・・(困惑 圧縮で生き残る条件は単純にレスが付いた順だから圧縮の直前にレスすればこのスレみたいに生き残ることができる オレは禁断の森の奥、獣道で三匹の狼の様な魔物に追いかけられていた。
オレの鼓動は高鳴り、冷や汗を背中に掻き、息を切らして魔物に振り返る。
魔物は身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。
魔物は荒い息を上げて低く唸り、涎を垂らしながら、鋭い牙を覗かせ吠えて走ってくる。
舗装されてないので足元がかなり悪く、雨が降ったのか大小の水溜りが出来ている。
オレは前を向いてないので、前方不注意で盛大に水溜りを踏んだらしく、派手な水飛沫が飛び散る。
おかげでスニーカーが濡れ、靴下までも濡れて気持ち悪い。スニーカーが泥だらけだ。
おまけに水溜りを踏んだせいで、足を持っていかれ危うくこけそうになる。
その時、真ん中の魔物が急に立ち止り砂煙を上げる。
魔物は顔を真っ直ぐ上げて遠吠えをした。 あいつ何しやがった?
嫌な予感がする。オレの頬に冷や汗が伝い、オレは顔を戻す。
腕を必死に振って走り、小さな水溜りを飛んで避け、大きな水溜りはスニーカーや靴下が濡れるのを構わず走る。
こうなりゃ、汚れる心配をしてる場合じゃねぇ。
カーゴパンツの裾がずぶ濡れだが気にしない。
獣道の脇では、樹の影や枝の上で紅い眼が蛍の光の様に幾つも光が点滅している。
まさか、さっきの遠吠えで仲間を呼んだんじゃないだろうな。
オレの悪い予感が的中するかのように、獣道の脇、樹の影からぞろぞろと狼の様な魔物が出てきた。
枝の上から飛び降りる魔物。
よく見ると数本の樹に、魔物か動物の爪痕があった。
どの魔物も涎を垂らし、オレに鋭い牙を向けて威嚇して吠えている。
腹が空いているのか、苛立ったように足を踏み鳴らし、今にも突進してきそうだ。 嫌な目だぜ、どいつも同じ様な面してやがる。仲間でオレを狩るつもりか?
オレはまだ十一なんだぞ。こんなとこで、魔物の餌になりたくねぇ。
オレは魔物を見回しながら走り、心の中で愚痴を吐く。
こいつら襲ってこないのか?
その時、オレは獣道に転がっていた小石につまずき、片足が派手に上がる。
「どわっ」
オレは間抜けな声を出してしまった。
オレの身体がぬかるんだ地面に倒れそうになる。
その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。
ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。
服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。
ネロはモデル並みの美形で女の子は黙っていない。 幼馴染のミサでさえ、ネロを独り占めにしている。
ネロのハットとジャケットは砂埃で汚れ、指輪とブレスレットに小さな泥が付いている。
「わりぃな」
オレは頭の後ろを掻いた。
ネロはオレの胸からそっと手を離し、その場から一歩も動かず魔物を窺い辺りを見回している。
ネロは何やらデジタル腕時計のボタンを弄り、黒縁メガネのレンズに魔物の3D立体映像が表示された。
3D立体映像表示された魔物は回転して、何やら数秒後に黒いシルエットに変わり赤く点滅している。 オレは頭の後ろで手を組んで、ネロの様子を黙って見ていた。
ネロは首を横に振る。
「ダメだ。こいつらの正体がわからない」
ネロはオレに振り向いて簡潔に答えた。
オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかける。
戦おうとするオレにネロは手で制する。
「よせ。下手に動いて奴らを刺激するな。ミサの援護を待とう」
ネロは掌をオレに向けて、オレに警告する。
「わかってる。ミサはホバーボードでのんびり観光してるんじゃねぇのか? ミサを待ってられるかっ」
オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま。
魔物に警戒しながら、魔物を刺激しないように体制を低くし、慎重に動きながら辺りを見回す。 こいつら、オレが小石につまずいた隙にオレたちを囲いやがった。
オレたちを囲んだ魔物は、すぐに襲おうとはせず遠くでオラたちの様子を窺っている。
オレは後退るうちにネロの背中とぶつかり、ネロと背中合わせになる。
オレは深呼吸して落ち着きを取り戻し、姿勢を正してネロに振り向く。
「こいつらなんなんだ? アルガスタに魔物がいるなんて聞いたことねぇぞ」
オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま、ネロに訊く。
ネロは瞼を閉じて、肩を竦めて首を横に振る。
「わからない。もしかしたら、禁断の森に棲んでいる新種の魔物かもしれない」
ネロは黒縁メガネの鼻のフレームを、人差指と中指で挟んで持ち上げた。 ネロは顎に手を当てて腕を組み、魔物を観察して考え込んでいる。
ネロの黒縁メガネのレンズには、魔物の黒いシルエットが回転して赤く点滅している。
その時、ネロの左耳に装着しているインカムに、幼馴染のミサから無線が入る。
「ネロ、どうする? 囲まれちゃったわよ?」
ネロのインカム越しから、ノイズ交じりで幼馴染のミサの暢気な声が聞こえる。
ミサはホバーボードで禁断の森の偵察に行ったままだったが、やっとミサから無線が入る。
オレは額に両手を当てて空を仰ぐ、ミサどこにいるんだよ。
つうか、いままでどこ行ってやがった。オレのことは無視かよ、ミサ。
オレは空を睨んで拳を振り上げる。
腹を空かしているのか、魔物たちがじりじりとオレたちとの距離を縮める。 腹を空かしているのか、魔物たちがジリジリとオレたちとの距離を縮める。
魔物は低く唸り、吠えたり、涎を垂らし、歯を噛んで鳴らし、仲間の首に噛みついたりじゃれている。
オレは魔物を睨み据え、斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかける。
「こうなりゃ、戦うしかねぇだろ。ネロ、策はあるか?」
オレは背中合わせのままネロに振り向く。
ネロは瞼を閉じて肩を竦め、呆れて首を横に振る。
「この数を相手にするつもりか? 相手にするとキリがない。こいつでまとめて片付ける」
ネロはジャケットのポケットから、銀色の小さな丸い球形を二個取り出した。
「受け取れ」
ネロは後ろに手を回して、銀色の小さな球形をオレに手渡す。
オレは首を傾げ、手を後ろに回してネロから得体の知れない銀色の小さな球形を受け取る。 「なんだよ、これ」
オレは眉根を寄せ訝しげにネロから受け取った銀色の小さな丸い球形を両手の掌で転がす。
オレは銀色の小さな球形が転がる動きを細い目でつまらなそうに追う。
ネロが肘でオレの脇腹を小突かれて、オレはネロに振り向く。
「手前に水溜りがあるだろ? こいつで奴らを感電させる。ある程度倒せるだろ、後のことは考えてない」
ネロは手前の水溜りを睨み据え、左手をジャケットのポケットに突っ込んで銀色の小さな球形を放り投げて遊んでいる。
オレは耳をほじくって鼻で笑い顔を戻す。
ネロの作戦が耳に入ってなかったオレは数秒遅れて、両手の掌で銀色の小さな球形を転がす動きが止まった。
今更ながらネロの作戦に驚き、オレは銀色の小さな球形を握り締め、そのまま拳を振り上げた。 「はあ!? こんなもんで何ができるんだよ!?」
周りを見渡せば、確かにオレたちの周りに大小の水溜りがある。
こんなもんで、あいつらを感電させられるのかよ。
オレは握り締めた指を広げて、掌に載っている銀色の小さな球形を見つめる。
ネロがオレに振り向く。
「ボクを信じろ。それとも、カイトはボクを信じられないのか?」
ネロが念を込めてオレの脇腹を小突き、ネロはカイトに意思表示する。
「……」
オレは何も言わなかった。
黙って銀色の小さな球体を握り締めて、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。
「それにしても、景色がきれぇ~」 その時、ネロのインカムからノイズ交じりで緊張感のないミサの暢気な声が聞こえる。
オレはミサの声を聞いて呆れてため息を零す。
顔を上げて、オレはネロに振り向く。
「そうだな。お前を信じるしかねぇ」
ネロは任せろという感じで頷く。
「奴らが水溜りの上を歩いたら、そいつを投げるんだ、いいな?」
ネロはミサを無視して、黒いハットに手を載せ、銀色の小さな球形を握り締めた。
オレはネロに答える様に脇腹を肘で小突いた。
「ああ。派手にやろうぜ」
オレは奴らが水溜りの上を歩くまで、じっと待った。
オレは緊張で唾を飲み込み、ごくりと喉を鳴らす。何故か喉が渇き、冷や汗が頬を伝う。 オレはネロが気になり、ネロに振り向いた。
ネロは左手をジャケットのポケットに手を突っ込み、右手で銀色の小さな球形を握り締めて手を構えている。
後ろの敵と前の敵を気にしながら、ネロはタイミングを窺っている。
どうやら、ギリギリまで奴らを引き付けるつもりらしい。
「今だ!」
ネロが力強く叫んだ。
緊張でオレの心臓が口から飛び出しそうになる。
「ほらよっ! 大人しくしやがれ!」
オレは水溜りの上を歩く奴らに向かって、銀色の小さな球形を放り投げる。
銀色の小さな球形は放物線を描いて水溜りに落ちた瞬間、強烈な青白い電撃が魔物たちを巻き込んで襲い始める。
あまりの眩い光に、オレは思わず「うっ」と声を漏らす。顔の前で眩い光を手で遮り、片目を瞑る。 「ぐぉぉぉぉん!」
魔物らが水溜りの上で咆哮を上げながら、魔物の身体は黒こげになり黒煙を上げ、絶命したのかばたばたと横に倒れてゆく。
電撃を食らわなかった魔物らは、一瞬何が起こったか理解できず、首を傾げてお互い顔を見合わせる。
数秒が経ち、魔物らは仲間の死体を見つめて悲しい眼をして後退り、ぞろぞろと踵を返して樹の影に消えてゆく。
まだ諦めてないのか、樹の影で魔物の紅い目が光っているのが不気味だった。
オレは脱力感とともにため息を零す。
オレはネロに振り返って、ネロの肩に手を置く。
「なんとかなったな。正直、お前の親父の発明品、馬鹿にしてたぜ」
オレは親指を突き出す。
ネロの親父は、ゾット帝国騎士団の科学者だ。
よく変な物を発明しては、騎士団と親衛隊に役立っている。 自慢げにネロは、オレとミサに親父の発明品を見せびらかす。
秘密基地で親父の発明品を弄っては、武器を改良するのがネロの趣味とかなんとか。
そんなんじゃ、女が呆れるぞ。いつもオレは思う。
お前が親父の発明品を弄る時、ミサがいつもつまらなそうにしているのがわからないのかよ。
ネロが鬱陶しそうにオレの手を払いのける。
「よせよ。お前は何も考えずに突っ走るところがある。無駄な戦いは避けたい」
ネロは瞼を閉じて肩を竦める。
オレは頭の後ろで手を組んだ。
「悪かったな、何も考えてなくて。今回は、お前に助けられたな」
ネロの背中越しに、魔物らが黒こげになっているのを見て、オレは口笛を吹く。
「ねぇ。こんなとこにラウル古代遺跡があるわけ? 見たとこ森が広がってるし、でっかい湖はあるし。何もないじゃない」
ネロのインカムに、ノイズ交じりでミサから無線が入る。 お前は暢気でいいよな、ミサ。オレとネロは散々な目に遭ったってのに。オレは愚痴を零す。
オレは空を仰いで額に両手をくっつけ、お気楽なミサを探す。
オレはミサを探すのを諦めて頭の後ろで手を組み、樹の影に消えてゆく魔物らを見送る。
「あいつらも諦めてくれたし、さっさとこんなとこ離れようぜ」
オレは肩を竦めて歩く。
ネロの横を通り過ぎようとした時、ネロは手でオレを制す。
「待て、奴らの様子が変だ。油断するな、カイト」
ネロは何匹か残った魔物を見回した後、自分が倒した魔物の前にいる、生き残った魔物たちを睨み据える。
「今度はなんだよ」
オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけ、残った魔物たちを見回す。
こいつら、何しようってんだ? オレたちの前から立ち去らずに残った魔物は、なんと黒こげになった魔物の死体を喰い始めた。
魔物は喧嘩しながら、魔物の死体を貪る。生々しい咀嚼音が聞こえる。
信じられない光景を目の当たりにして、オレは思わず後退る。
「!? ど、どうなってんだよ」
オレは手に変な汗を掻いていた。
ネロがオレを制した手をゆっくりと下す。
「さあな。嫌な予感がする」
ネロは緊張した声音で、腰に巻いたホルスターのオートマチック銃の柄に手をかける。
ネロは余った手でジャケットのポケットに手を突っ込んだ。さっきの武器を使うのだろうか。 共食いしている一匹の魔物が貪るのを止めて顔を上げ、低く唸りながらオレたちに吠えて威嚇して見ている。
その魔物は、低く唸りながら足を踏み鳴らし、なんと姿を変え始めた。
その魔物は皮膚が解けてメタリックの骨格が露わになる。足の爪がさらに鋭くなり、背中にキャノン砲が現れた。
それぞれメタリックの骨格姿に変えた魔物の背中に様々な武器が現れる。
ミサイルランチャー、ガトリング砲、ビームキャノン砲。
姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器を発射したり撃ってくる。
オレの瞳に、奴らの攻撃が迫るのが映る。
くそっ。ミサの奴、何してんだよ。
こんな時に。オレは焦り苛立った。 姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器を発射したり撃ってくる。
オレの瞳に、奴らの攻撃が迫るのが映る。
くそっ。ミサの奴、何してんだよ。
こんな時に。オレは焦り苛立った。
「ウォーターボール!」
その時、オレたちの頭上でミサの声が降った。
ミサがオレたちの頭上で呪文を詠唱した声が聞 こえたかと思ったら、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、ふわりとオレの身体が浮き上がる。
その間に奴らの攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たるが、奴らの攻撃がジャンボシャボン玉に吸収されてゆく。 「ど、どうなってんだ!?」
オレはジャンボシャボン玉の中でバランスを取るのに必死で、ジャンボシャボン玉の中で忙しく回転している。
回転しすぎて気分が悪くなり吐きそうになり、ロ許を手で押さえる。
逆さま状態で隣のネロを見る。
ネロはジャンボシャボン玉の中でハットを押さえ、胡坐をかいてジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。
ネロの奴、平然とパランス取りやがって、優雅に景色を堪能してやがる。
オレは逆さまの状態でネロを睨んで拳を振り上げる。
こうなったら、意地でもバランス取ってやる。
オレはジャンボシャボン玉の中でバランスをとるのに悪戦苦闘し、くるくる回ること数分が経ち、そろそろバテた頃。 オレはコツを掴み、やっとジャンボシャボン玉の中でバランスが取れる様になる。
オレは胡坐をかいて頬杖を突き、勝ち誇った様にネロを睨む。
ネロは相変わらずハットを押さえて胡坐をかき、ジャケットのポケットに手を突っ込み、眼下に広がる景色を堪能している。
無視かよ。オレは俯いてため息を零す。
オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側をこぶしでたたいてみるが、金属の様な硬い音がする。
どうなってんだ。こいつはシールドなのか?
ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。
「ふぅ。なんとかなったか」
オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。 広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。
大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。
昔は、この森に人が住んでたかもな。
それにしても。
禁断の森の途中まで馬で来て、すく帰るつもりだったんだよな。
馬はミサの魔法でゾット帝国騎士団の馬小屋に返したのはいいけどよ。
まさか、遺跡を調べている時に魔物に襲われるとはな。
オレは思い出して、苦笑いしてため息を零す。
爺ちゃんの冒険書に書いてあった、ラウル古代遺跡。
爺ちゃんの最期の冒険、ラウル古代遺跡を確かめるため、ここまで来た。
オレは今、世界を見ている。爺ちゃんが見てきた世界。
オレは爺ちゃんに貰ったクリスタルの首飾りのクリスタルを握り締める。
このクリスタルは、爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したらしい。 爺ちゃんが死んでから、オレはクリスタルの首飾りを肌身離さなかった。
爺ちゃん。オレはこれから、世界を見ていく。
オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむ高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。
オレは束の間の旅を楽しむ。
その時、飛行機の様な騒音が近づいてくる。
「なんだ?」
オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。
騒音とともにごっついホバーボードに乗った、幼馴染のミサがオレとネロの間に割って入る。
オレは寝返りを打って、やっと来たミサを「おせえんだよ」と呟く。
ミサは亜麻色のポニーテールでエメラルドグリ ーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。
両耳にハートのピアス、首にはハートのネックレス。
服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。 コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手 に革の黒いグローブを嵌めている。
下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。
靴は黒いショートブーツ。
ミサが肩を疎め、瞼を閉じてため息を零す。
「もう見てられないんだから。あたしに感謝しなさいよ? ネロ、あたし大活躍でしょ!?」
ミサは鼻と喉を鳴らしてオレを一瞥した後、胸の前で手を組み上目遣いでネロにラブラブビームを送る。
オレはつまらなそうにネロを見る。
ネロはミサを無視して胡坐をかき、景色を眺めながら腕を組んで顎に手を当てて何やら考え込んでいる。
また始まったよ。ミサの媚が。付き合ってらんね。 「つうか、ミサ。お前、今までどこ行ってたんだよ?」
オレは寝転んだまま、耳を穿りながらミサを睨む。
こいつ、可愛いんだけど、性格が最悪なんだよな。
「どこでもいいでしょ? カイトには関係ないじゃない」
ミサはオレに舌を出して、両手を組んで鼻と喉を鳴らしてそっぽを向いた。
オレは舌打ちした。
「ああ、そうかよ。お前の恋が実るといいな。どっかの誰かさんと」
オレは肩を疎めて、ネロに顎をしゃくる。
オレは「やってらんねえ」と呟き、ミサに背を向けて寝返る。
景色をぼんやり眺めていると、安心感と疲労で眠気が襲い、オレは欠伸をして目を擦る。
その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。
オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャ ーが当たる度に罅が大きくなる。 その後、何故か敵の攻撃が止んだ。
諦めてくれたか?
オレは寝転んだまま、辺りを見回す。 その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。
オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。
その後、何故か敵の攻撃が止んだ。
諦めてくれたか?
オレは寝転んだまま、辺りを見回す。
くそっ。今度はなんだよ。
敵の攻撃が止んだのを確かめると、オレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。
「おい、ミサ。なんでオレだけ罅が入るんだよ!?」
オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。オレの拳が怒りで震えている。
ミサ。オレのだけ手加減したんじゃねぇだろうな。 オレの中で、そんな不安が過る。まさかな。
ミサは胸の前で両手を合わせて、可愛くぺろっと舌を出した。
「ごめんっ。カイトの分だけ、手加減しちゃった。ネロは特別だからね?」
ミサはネロにウィンクして、ネロにラブラブビームを送る。
オレはミサが信じられず、ミサを力強く指さす。
「はあ!? お前なに言ってんだよ!? ネロ、なんとか言ってやれよ!」
オレの指先が得体の知れない恐怖で震えている。手には嫌な汗を掻いている。
オレは救いを求める様にネロを見る。
ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか探索モードで必死に探っている。 ここはネロに任せるか。オレはミサに視線を戻す。
オレはミサの苛立ちで両手で頭を掻き上げる。
「おい、ミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前、それでも幼馴染かよ!?」
オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。
今度は額に嫌な汗を掻いている。
ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。
「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ」
ミサは瞼を閉じ、涙を指で拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。
こいつ、冗談じゃないな。本気だ。
オレはミサに呆れて、がっくりと肩を落とし俯く。
ミサに付き合いきれずに疲れて、そのまま深いため息が零れる。
「何か近づいてくるぞ! 油断するな!」 その時、ネロの怒声が響く。
「!?」
オレは一気に緊張して、驚いて顔を上げる。
オレは素早くネロを見ると、ネロの黒縁メガネのレンズに表示された3D立体地図が赤く点滅している。
敵か。どこだ?
オレは辺りを見回す。さっき攻撃してきた奴か?
その時、けたましく鳴きながら、オレたちの向こうと反対側から飛んできた二羽の大鷲。
大鷲はメタリックの骨格に眼が紅く、両翼の先端が太い筒状になっており、長い尻尾が生えている。
二羽の大鷲は回転しながらオレたちに近づき、それぞれ口を開けるとガトリングガンがあり、二羽の大鷲は口を開けたままガトリングガンを撃ってくる。
オレのジャンボシャボン玉の罅がみるみる大きくなる。 くそっ。諦めたんじゃなかったのかよ。
何でオレだけなんだ。
オレは両手で頭を掻きながらミサとカイトを見る。
ネロを見るが、ネロのシャボン玉は攻撃を吸収して大丈夫みたいだ。
ミサはミサで、青白い障壁に包まれている。
ミサ、オレのだけ本当に手加減したのか?
オレは首を横に振る。そんなわけねぇ。
オレは両手の拳を握り締める。
「おい、なんとかしろよ!」
オレはミサとネロに訴える様に、シャボン玉の見えない壁を拳で叩く。
拳を額にくっつける。
オレは歯を食いしばって一羽の大鷲を睨む。
大鷲は勝ち誇ったように、両翼を真っ直ぐ前に突き出し、両翼の先端の筒からミサイルが発射された。 このスレに何人か横槍入れて邪魔しようとしてるヤツ居るけど全員本物のガイジ目の前にして返り討ちにあってるの草なんだ ミサイルの飛来音が風を切る。
オレは飛んでくるミサイルを見て舌打ちした。
今度はミサイルかよ。余計なことしやがって。
オレはシャボン玉の見えない壁を拳で激しく叩く。
くそっ。どうなってやがる。ここの魔物どもは。
ミサがシールドの手加減をしたとは思えねぇ。
じゃ何でなんだよ。
オレは諦めて両膝をシャボン玉の見えない床に突き、絶望に駆られ俯く。
「不味いぞ。ミサ、カイトをなんとかしろ!」
ネロの怒声が波の様に揺らいで聞こえる。 大鷲のミサイル攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たり、攻撃音が遠くに聞こえる。
なんとかならねぇのかよ。くそっ。
オレは両手の掌を床に突き、拳を握り締めて見えない床を叩く。
その間にも、オレのジャンボシャボン玉の罅割れが大きくなる。
オレの鼓動が高まり、緊張で息が荒くなる。
瞼を閉じた。落ち着け。とにかく、考えるんだ。どうにかしないと。
その時、オレのジャンボシャボン玉は攻撃に耐えきれず、ついにガラスが割れた様に砕け散る。 オレの身体は吸い込まれるように宙に投げ出された。
「うわぁぁぁぁぁ!」
オレの身体が逆さまにみるみる急降下していく。
顔を上げると、ネロとミサが小さくなる。
オレは手を伸ばして掌を広げる。
「ミサ、ネロ……」
オレは小さく呟いた。
ついにミサとネロが点になり、見えなくなった。
オレの身体が急降下してゆく、地上に向けて。
今度ばかりはダメかもな。オレは瞼を閉じる。 >>506
というか絶対1000までにはネタ切れしてるから結局途中で消えるんだよね オレは手を伸ばして掌を広げる。
「ミサ、ネロ……」
オレは小さく呟いた。
ついにミサとネロが点になり、見えなくなった。
オレの身体が急降下してゆく、地上に向けて。
今度ばかりはダメかもな。
オレは涙が滲んでゆっくりと瞼を閉じる。
「こらあああああ! カイトおおおおお! なに諦めてんのよっ! あたしがカイトを助けるんだから! 幼馴染を見捨てたりしないわよ! 今行くから待ってなさいっ!」
ミサの怒声が天から聞こえる。
変だな。これは夢か?
いや、オレはまだ死んでない。 >>511
張り合うだけ無駄なのに邪魔してる奴らは何が気に食わないんやろな 気のせいじゃない。ミサの声が聞こえる。
オレはゆっくりと瞼を開ける。
オレの視界に、ミサがホバーボードの後ろの二本マフラーから激しく火を噴きながら、ホバーボードのエンジン全開でオレを追いかける姿が映る。
ミサの姿を見て、オレは鼻を鳴らし喉の奥で笑う。ミサに見捨てられたかと思ったぜ。
ネロとはぐれちまったな。あいつならなんとかするだろ。
その時、ミサの背後からけたましく鳴きながら 一羽の大鷲の魔物が急降下してくる。
またあいつかよ。諦めてくれそうにないな。 オレは大鷲の魔物を睨む。
「ミサ! 後ろだ! あいつが追いかけてきてるぞ!」
オレは近づいてくるミサの背後を指さす。
ミサは鬱陶しそうに髪を掻き上げ、背後の魔物を無視してオレの降下スピードに追いつく。
「魔物なんかどうでもいいわ! あんたがなんとかしてよ! あたしはあんたを助けるので手一杯なんだから! カイト、手を伸ばして!」
ミサがオレに手を伸ばして掌を広げる
ミサの亜麻色の前髪とポニーテールが風で靡いている。
オレもミサに手を伸ばしながら、腰のホルスターに挿したオートマチック銃の柄に手をかける。
オレは舌打ちした。やっぱ、オレがなんとかしないとな。
大鷲の魔物はミサの背後で羽ばたきながら、長い尻尾の鋭い先端をミサの背中に向ける。
こいつ、あの尻尾でミサを刺そうってか。させるかよ。
オレはミサに手を伸ばしつつ、腰のホルスターに挿したオートマック銃を抜く。 片目を瞑って大鷲の魔物に狙いを定め、オートマチック銃の引き金を引いて二三発撃つ。
三発目に撃った銃弾が大鷲の魔物の腹に命中し、銀色の粘着物が大鷲の魔物の腹にくっついた。
同時に大鷲の魔物の身体を青白い電気が包み込み、大鷲の魔物が麻痺して苦しそうに鳴きながら 逆さまに降下してゆく。
オレは青白い電気を包み込みながら降下してゆく大鷲の魔物を見下ろして口笛を吹いた。
オレはオートマチック銃を握った手で、額の汗を手の甲で拭う。
「ふう。なんとかなったな。それにしても、この銃、なんなんだ?」
オレはまじまじとオートマチック銃を見つめる。
帝国騎士団からくすねた銃だが、騎士団はこんなもん使っているのか。
物騒な世の中になったもんだ。 その時、もう一羽の大鷲の魔物がお腹を向けて急降下して来た。
そして、青白い電気を包み込みながら降下していた大鷲の魔物と接触して空中爆発が起きる。
その衝撃波がオレとミサを襲う。
あとちょっとでオレはミサの手を掴むところだったが、爆風でオレは回転しながら吹っ飛んだ。
「うわっ」
熱気と破片が飛んできて、オレは顔の前を手で遮る。
凶器と化した破片が頬や腕、脇腹や太ももを掠めて皮膚が切れて怪我する。
オレは痛くて、「っつ」と思わず顔をしかめて声を漏らす。 「ああもう! あとちょっとだったのに! 世話が焼ける男ね! こうなったら、魔法しかないわね! ウォーターポール!」
ミサの苛立ちの声が降り、ミサは呪文を詠唱した。
ミサが呪文を詠唱すると、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、オレの身体がジャンボシャボン玉の中で浮き上がる。
またこの魔法か、嫌な思い出しかないぜ。オレは顔をしかめ、心で愚痴を零す。
オレはオートマチック銃を腰のホルスターに挿した。
オレは胡坐をかいて、太ももに掌を突く。
「また手抜きじゃねえだろうな!」
ミサを睨んで拳を振り上げる。
ミサが鬱陶しそうに髪を掻き上げ、ホバーボードを飛ばしてオレのジャンボシャボン玉に近づいてくる。 「即席のウォーターボールよ。文句言わないでよ ! あたしの魔力、そんなにないんだから!」
ミサがジャンボシャボン玉の中に手を突っ込んで、オレに手を伸ばす。
「いつまで持つかわからないわよ? また落っこちたい?」と、ミサは顔をしかめて冷たく言い放つ。
自分の手を早く掴めと言わんばかりに、シャボン玉の中に突っ込んだ手の指をひらひらと動かす。
魔法が使えないオレはミサの態度に苛立ち、頭の後ろで手を組む。
「おせえんだよ。待たせやがって」
オレは舌打ちしてから、一安心してため息を零し、仕方なく嫌々ミサに手を伸ばす。
オレがミサの手を掴んだ瞬間、ジャンボシャボン玉が勢いよく弾けた。
ミサはオレの手を掴んだままため息を零す。
「やっと掴んだわよ。邪薩が入ったけど、まあいいわ……」
やれやれという感じで、ミサは瞼を閉じで肩を疎めて首を横に振る。 オレはミサに親指を突き出した。
「オレはミサを信じてたぜ。一時は諦めたけどな」
歯を見せて、オレはミサに笑いかける。
ミサは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにオレから顔を背けた。
「べ、別にっ。ま、まあ、幼馴染だし? ネロに言われたし? それにしても、危機一髪だったわね」
ミサはオレから顔を背けたまま、額の汗を手の甲で拭う。
ミサの汗の粒が風に飛ばされて、オレの頬に張り付く。
「オレを殺す気かよ。ったく」
オレは眉根を寄せてミサを睨み、俯いてため息を零す。
雲を抜け、雲の間から足元に広がる景色に息を呑んだ。
ネロの奴、今頃なにしてんだか。
「ねえ、ネロのこと考えてるの? ネロのことなら心配ないわよ? 後で合流しようって言ってたし。それに、ネロのハイテク装備もあることだし。なにも心配することないわよ」 >>513
ただの自己顕示欲というか構って欲だろうな
そんなんだったらTwitterででもやってくれって話だが ミサはオレが考えていることを、さらりとロにした。
やっぱ、ミサはオレの幼馴染だな。オレはミサの顔を見て微笑む。
「そうか、ならいいんだ。ミサを巻き込んで悪かったな。お前、ネロと一緒に王都ガランに行くつもりだったんだろ?」
オレはミサのことはお見通しという感じで、ミサに歯を見せて笑った。
ミサは皮肉たっぷり込めて瞼を閉じて舌を出す。
「そうよ。あんたを放って、王都ガランでネロとデートしようと思ってたのに。デート当日になって、あんたが待ち合わせ場所に来て、禁断の森に行こうとか言い出すし。ほんと信じれない。せっかくお洒落してきたのに。おかげでデートが台無しよ。まさかネロがあたしとのデートをあんたに言ったとはねぇ、迂闊だったわ」
ミサはネロが信じられないという様に、また瞼を閉じて首を横に振る。
オレはミサの顔を見て、生唾を飲み込み喉を鳴らす。
ミサにネロのこと言うべきか、オレは迷った。
「ミサ。ネロはお前のこと……」 言いかけて、オレは言葉を呑んだ。
ネロは、お前のこと幼馴染だと思ってる。
オレは拳を握り締め、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。
ミサはデートのこと根に持ってるのか、ミサの盛大なため息が聞こえる。
「ネロがどうした? なによ、気になるじゃない」
ミサの興味津々な声が降ってくる。
オレは俯いたまま、ゆっくりと瞼を開ける。
「なんでもねえよ」
オレは小さく呟き、握り拳に力を入れて拳が震えた。
そのまま、ミサと顔を合わせるのが嫌でオレは俯いたまま。 急にミサが洟をすすって泣いた。
「少しはあたしの恋に協力してくれてもいいじゃない。カイトのバカッ」
ミサが小声でぼそりと呟く。
オレは聞こえないふりをした。
その後、気まずい空気が流れ、オレとミサは黙ったままだった。
その時、ミサのホバーボードのマフラーから空 気が抜けた様な嫌な音を立てた。
「!? な、なんだ!?」
オレは驚いて顔を上げる。 ホバーボードのファンの回転が弱くなる音が聞こえる。
「ね、燃料が切れかかってる!? こんな時に! ?」
ミサがホバーボードの上でバランスを崩すと同時に、ミサは背中のマントを開き滑空する。
ミサの足からホバーボードが離れ、オレは咄嗟 に片方の手でホバーボードを掴む。
ホバーボードの重さにオレは顔をしかめる。
「今度は燃料が足りねえのか。災難続きだな。にしても、このホバーボード重いぞ」
オレはホバーボードを憎たらしく見つめる。機械の塊が生意気だな。
このホバーボード、何かの役に立つかも知れないからな。
ミサは両手でしっかりとオレの手を掴んでいる。
マントを広げたミサは風に任せて、オレたちはゆっくりと優雅に飛んでゆく。 ミサがため息を零すのが聞こえ、オレはミサを見上げた。
お前、ため息が多いな。そんなにネロとデートが出来なかったことが悔しいのかよ。
なんかミサに悪いことしたな。今度、ミサの恋に協力してやるか。
ミサは風で髪をなびかせて、眼下に広がる景色にうっとりして堪能していた。
「あーあ。思った以上に景色が綺麗で、この子の 燃料食っちゃったなあ。反省……ごめんね、ネロ」
ミサはがっくりと肩を落とし、意気消沈して俯く。
おいおい。お前、ホバーボードの名前がネロとか病んでるな。聞いてて寒気がする。
オレはホバーボードでミサを殴ってやろうかと思ったがやめた。
「お前が寄り道してるせいで、オレとネロは大変だったんだからな。ちったぁ反省しやがれ」
ホバーボードを掴むオレの手が怒りと重さで震えている。 ミサがため息を零すのが聞こえ、オレはミサを見上げた。
お前、ため息が多いな。そんなにネロとデートが出来なかったことが悔しいのかよ。
なんかミサに悪いことしたな。今度、ミサの恋に協力してやるか。
ミサは風で髪をなびかせて、眼下に広がる景色にうっとりして堪能していた。
「あーあ。思った以上に景色が綺麗で、この子の 燃料食っちゃったなあ。反省……ごめんね、ネロ」
ミサはがっくりと肩を落とし、意気消沈して俯く。
おいおい。お前、ホバーボードの名前がネロとか病んでるな。聞いてて寒気がする。
オレはホバーボードでミサを殴ってやろうかと思ったがやめた。
「お前が寄り道してるせいで、オレとネロは大変だったんだからな。ちったぁ反省しやがれ」
ホバーボードを掴むオレの手が怒りと重さで震えている。 その時、急にミサの息が荒くなる。
「はあ、はあ....」
みるみるミサの顔色が悪くなり、ミサの額に汗が滲む。
嫌な予感がして、オレの鼓動が高まる。
「お、おい。ミサ、どうしたんだよ?」
オレはミサが心配で、ミサの顔を覗き込む。
ミサの額は玉のように汗を掻いている。
オレを掴むミサの両手が震えている。
ミサはオレの顔を見て微笑んだ。
「ごめん、カイト。あたし、魔力を消費しちゃったみたい、 後は、お願い、ね....」
ミサは気絶して身体から力が抜け、ミサが落ちてゆく。 ミサはオレを掴んだまま落下する。
オレはミサの体重に引っ張られる。
「ぐっ」
オレはミサの手をしっかりと片手で掴む。
ホバーボードを掴んでいる手を、ホバーボードを持ち上げて脇に挟み、ミサの手を両手で掴む。 「ミサっ!?」
オレは歯を食いしばって力を入れた。
ぜってえ離さねえ。無理しやがって。
ミサのパワーグローブのおかげで、ミサの体重をそんなに感じない。
風の抵抗を受けながら、大地が近づいてくる。
幸いにも、下に大きな川が流れているのが小さく見える。
うまくいけば助かるかもな。川に落ちたとしても、川の深さがわからねえ。
川に飛び込んだ衝撃で、怪我どころじゃねぇな。
下手すりゃ溺れて、オレとミサはお陀仏だ。
どうする。考えろ。 オレは瞼を閉じて首を横に振る。
やっぱ、頼みはこいつだな。
オレは脇に挟んだホバーボードに目を落とし、ミサを掴む手に力を入れる。
ウォーターボールの魔力がまだ効いているのか、オレの身体は浮いていた。
ミサのパワーグローブから、ミサの魔力が伝わってくるのかもな。
もしかして、オレがミサの魔力を吸い取ってるのか?
オレは瞼を閉じて首を横に振った。めんどくせぇ。
くそっ。オレはホバーボードの重さに耐えられず、顔をしかめ、脇と手と額にも嫌な汗を掻いている。
そろそろ限界かもな。ミサも重くなってきやがった。
ミサを掴む手が震え始め、脇を動かした隙に脇からホバーボードがするりと滑り落ちた。 重力の勢いで、風を切り裂きながら落ちてゆくホバーボード。
「くそっ!」
回転しながら落ちてゆくホバーボードに、オレはミサの手から片手を離して、ホバーボードに手を伸ばす。
オレは悔しくて歯を食いしばる。ミサ、すまねぇ。お前のホバーボードを手放しちまった。
オレはやるせなくなり、ホバーボードに伸ばし手を垂れて俯く。
諦めるのか? そんな簡単に。ミサの大事なホバーボードなのに。
ミサが好きなネロって名前のホバーボードだろ? ミサのお気に入りなんだろ?
垂れた手を握り締め。瞼を閉じて首を横に振る。いや、まだ終わってねぇ。
ホバーボードに燃料が少し残ってるはずだ。その可能性に賭ける。
どうにかして遠隔操作すれば、ホバーボードを動かせるかもしれねぇ。
小さくなってゆくホバーボードに、オレは手を伸ばす。頼む、動いてくれ。
その間にも眼下に大きな川が近づいてくる。川の流れる轟音が聞こえる。
ぐずぐずしてられねぇ。このポンコツが! さっさと動きやがれ!
今にも川に落ちそうなホバーボードを、オレは黙って睨み据える。 その時、オレの首飾りのクリスタルが眩く青白い光を放つ。
オレは思わず青白い光が眩しくて、顔の前を手で遮る。何が起こった?
眼下のホバーボードが川の水面に近づいた瞬間、ホバーボードが川の水面に浮く。
轟音とともに凄まじい水飛沫がホバーボードの周りに飛び散る。
主の声に応えるようにクリスタルが青白い光を放ちながら、オレとミサの身体がゆっくりとホバーボードに吸い寄せられてゆく。
オレはミサを抱きかかえながら、青白く光るクリスタルを掌に載せて、クリスタルをまじまじと見た。なんだ? 助かったのか?
そして、オレがミサをホバーボードの上に乗せようと思った直前。
急にミサのパワーグローブから火花が散って、ミサの身体が鉛りの様に重くなり、オレはミサを手放してしまう。 ミサが川に落ちて水飛沫がオレの頬に張り付く。
オレは川に流されまいと、慌ててホバーボードの上に両腕を載せてホバーボードにしがみつく。
「ミサッ!?」
オレの下半身がずぶ濡れになり、流されまいと足に力を入れる。
空中爆発で飛んで来た破片で太腿を切った傷口が沁みて、オレは顔をしかめる。
痛みを我慢して、オレは水面上に浮いたホバーボードからミサに手を伸ばす。
くそっ。動け、このポンコツが!
オレは吐き捨てるように、ホバーボードの上を拳で思いっきり叩いた。
次の瞬間、ホバーボードは空気が抜けた様な間抜けな音を出し、ホバーボードが川に落ちて派手に水飛沫を上げた。 ホバーボードが川に落ちた瞬間、オレは川の水を飲んだ。
空中爆発で飛んで来た破片で切った腕や頬の傷口が沁みて、オレはまた顔をしかめる。
手当しないとな。そんな思いを裏切るように、オレはホバーボードにしがみついたまま流されてゆく。
ホバーボードを板代わりに、オレはホバーボードにしがみつきながら飲んだ水を吐いて咳き込む。
前髪を掻き上げてミサを見ると、川の流れが早く、ミサがどんどん流されてゆく。
うつ伏せに浮いて流されるミサ。
このままじゃ、ミサが溺れ死ぬ。なんとかして助けねぇと。
オレはホバーボードの上で、川の水の冷たさに震えていた。
不味いな、体温が奪われてる。
オレがホバーボードから離れたら、オレまで溺れてしまう。 オレはミサから目を離さない。
ミサの数メートル先に、大きな尖がった岩が川から突き出している。
待てよ。ミサがあの岩に引っかかってくれれば、なんとかなりそうだ。
オレは震える手で川の水を手で必死に漕ぎながら、ミサの後ろに位置を調整する。
やがて、ミサは大きな岩に引っかかり、ミサの身体はうつ伏せのまま浮いている。
少ししてオレはミサに追いついた。
岩の周りは幸いにも浅瀬せで、川の流れも遅く、オレの腰くらいまで水の高さがある。
「ミサ、しっかりしろ!」
オレはミサを支えて肩に担ぎ、川底に足を取られよろけながら、オレはミサをホバーボードの上に載せる。
ミサの生死が気になって、オレは横になったミサの胸に耳を当てる。
鼓動どころか何の音も聞こえない。聞こえるのは自分の鼓動と川の流れる音だけ。 オレはミサの胸から耳を離し、もう一度ミサの胸に耳を当てる。
やっぱり、何も聞こえない。オレはミサの胸から耳を離し、絶望に駆られ俯く。
「おい、ミサ。嘘だろ……」
オレは顔を上げて、ミサの身体を必死に両手で揺らす。
ミサは人形の様にぐったりして横になったまま動かない。
ホバーボードからミサの腕が垂れて、ミサの手が川の水に落ちている。
涙が滲んで、オレは手の甲で涙を拭う。
「くそっ! なんでこんなことになっちまったんだよ!」
オレはやるせなくなり俯く、ミサの足元のホバーボード上を拳で思いっきり叩く。
ミサを死なせねぇ。オレは諦めない。
そうだ。人工呼吸だ。総合学校の授業で習ったな。
オレは顔を上げ、うろ覚えでミサの身体を仰向けにし、ミサの唇に自分の唇を重ねようとする。 ミサの白い顔を見て、オレは顔が火照る。なんでオレがミサとキスしなきゃならねぇんだ。
オレはミサの紫色の唇を見て躊躇い、生唾を飲み込み喉を鳴らす。
オレは瞼を閉じて首を横に振る。ミサ、目が覚めたらオレをぶん殴ってくれ。
オレは意を決し、瞼を閉じたまま、ミサとキスして人工呼吸する。
三秒くらいミサと濃厚なキスして、オレは恥ずかしくなり慌ててミサの唇から自分の唇を離して咳き込む。
これでいいのか? オレは口許を手の甲で拭う。次は心臓マッサージだな。
オレはミサを心臓マッサージしようとするが、ホバーボードが不安定で揺れる。
ミサを心臓マッサージしようとすると、今度はホバーボードが沈んでうまくいかない
ここじゃダメだ。早く陸に上がらないと。なんとかならねぇのか。
オレはミサから顔を上げて、川岸を睨む。
なんとなく、オレはミサの濡れた服に目がいってしまう。
ミサのフレアスカートから覗く生足を見て、オレは思わず生唾を飲み込み喉を鳴らす。 興奮して鼻血が出そうになり、慌てて鼻を押さえてミサから視線を逸らし、気まずくなって人差指で頬を掻く。
人差指で頬を掻きながら、横目で瞬きして、視線を戻しつつミサを見てしまう。
その時、ミサの腰のホルスターに銀色のリボルバー型フックショットが挿してあるのが目に止まった。
銃口の下に掌サイズの球形があり、球形の中にワイヤーが収まっている。
引き金を引くと、三角に尖ったワイヤーの先端が銃口から飛び出す仕組みだ。
フックショットか。こいつで川岸に生えてる樹に刺せば、なんとかなりそうだな。
オレは閃いたとばかりに、掌の上で拳を叩いた。 オレはミサの変なところに目がいかないように瞼を閉じ、瞼を開けないように瞼に力を入れ、ミサの身体を手探りで触ってゆく。
その時、なにか柔らかい物に触れて、オレは思わず瞼を開けた。
なんだ? そう思いながら、オレの左手がミサの胸を掴んでいた。
や、やべ。ミサの胸を掴んじまった。しかも小さい。
「ひっ」
オレは情けない悲鳴を上げて、ミサの胸から慌てて手を離す。
ばっちいとばかりに、オレは左手首を必死に振っている。
左手首を押さえて変に唸った。
よ、よし、気を取り直していくぞ。オレは胸を撫で下ろして深呼吸する。
今度は顔を片手で覆い、指の間から片目を開け、ミサの腰のホルスターに挿しているリボルバー型フックショットに手を伸ばす。
ミサが起きやしないかと変に気になりながらも、オレはなんとかリボルバー型フックショットを抜き取った。 調子に乗ったオレはリボルバー型フックショットの引き金に人差指を通してリボルバー型フックショットを回し、鼻頭を人差指で得意げに擦る。
なにやってんだろ、オレは。こうしている間にも、ミサがあぶねぇってのに。
急に虚しくなってどっと疲れが出て、オレはがっくりと肩を落とす。
オレは顔を上げて額を手の甲で拭い、深く息を吐いて落ち着かせた。こりゃ寿命が縮んだな。
何故か嫌な汗を掻いているような気がしたが、川の水と変な汗が混じっているのかわからなかった。
オレは腰に手を当てて、銀色のフックショットをまじまじと見つめた。
頼むぜ。オレは片目を瞑り、銀色のフックショットを片手で構え、川岸に生えている樹の太い幹に狙いを定める。
引き金を引くと、勢いよく銃口からワイヤーが飛び出し、狙い通り樹の太い幹に刺さった。
ワイヤーを思いっきり引っ張ってみる。大丈夫そうだ。一発でうまく幹に刺さってくれた。 オレはミサの脇腹に腕を通して、ホバーボードを掴む。
幹を睨んで、またフックショットの引き金を引き、ワイヤーをゆっくりと巻き取ってゆく。
ゆっくりとワイヤーが銃身に巻き取られてゆく中、川の流れが早くなり、オレは川に流されてゆく。
ワイヤーが伸びきってぎりぎりと嫌な音がする。不味いぞ、上手くワイヤーが刺さってなかったのか?
その時、ワイヤーは川の流れに耐えられなくなり、呆気なくワイヤーの先端が幹から抜ける。
引っ張られるようにオレは川に流される。
「うわっ!」
オレの叫びも虚しく、オレは川の流れに身を任せるしかなかった。
くそっ。フックショットはダメだったか。オレは引き金を引いて、ワイヤーを巻き取る。
ぜってぇ、お前を助けるからな。オレはミサに振り向いて、ミサの脇腹を通してホバーボードを掴む手に力を入れる。 その時、ワイヤーは川の流れに耐えられなくなり、呆気なくワイヤーの先端が幹から抜ける。
引っ張られるようにオレは川に流される。
「うわあああああ!」
叫んで口を開けた時に川の水を飲んでしまい、オレは盛大に咳き込む。
オレの叫びも虚しく、オレは川の流れに身を任せるしかなかった。
くそっ。フックショットはダメだったか。オレは引き金を引いて、ワイヤーを巻き取る。
ぜってえ、お前を助けるからな。
オレはミサに振り向いて、ミサの脇腹を通してホバーボードを掴む手に力を入れる。
オレは川の流れに揺られて酔って吐きそうになる。
川の水がつめてえ。傷が沁みやがる。
今日は災難だぜ。まさか、この先は滝じゃねえだろうな。
オレは嫌な予感がして、川の先を見つめる。
川の先は深い森が広がっている。 その時、両川岸にさっきの狼の様な魔物がオレを追いかけてくる。魔物は二匹。
メタリックの骨格の身体で眼が紅く、背中に装備した大きなマシンガン。
もう一匹の背中には大きなキャノン砲を装備している。
オレの傍でマシンガンの弾丸が川に落ち、すぐ傍でキャノン砲が川に落ちて爆発で川に穴が開く。
くそっ。諦めの悪い奴らだ。
オレは息を吸って、ミサを押さえたまま川に潜って顔を隠す。
水中でマシンガンの弾丸がオレの頬を掠めたのか、類に痛みが走りオレは顔をしかめる。
川の流れが速くて息が続かず、オレは川から顔を出して大きく口を開ける。
キャノン砲がホバーボードのすぐ上を掠める。
ホバーボードにマシンガンの弾丸が命中したのか火花が散っている。 気のせいか少しずつ川の流れが早くなっている。
オレの流される速さに追いつけなくなった魔物は諦めて立ち止って首を振っているのが見えた。
魔物は踵を返して、樹の影に消える魔物の後ろ姿が小さくなる。
どんどん川に流され、川が曲がったりで気分が優れなくなる。やっぱり、滝があるのか?
オレは吐きそうになり、口許を手で押さえる。
オレの嫌な予感が当たり、辺りに轟音が響く。目の前に大きな滝が口を開けて迫っていた。
おいおい、あんな滝に落ちたら、今度こそ助からないぞ。
成す術もなく、オレとミサは滝に吸い込まれて滝に落ちた。
宙に放り投げ出されたオレは逆さまになってミサに手を伸ばす。
「ミサあああああ!」 くそっ! ミサが死んじまう。どうにかなんねえのかよ! オレは悔しくて歯を食いしばる。
そうだ。さっきみたいに助けてくれよ! オレは小さくなってゆくミサに手を伸ばしたまま、胸のクリスタルを握り締める。
オレは、ミサを助けたいんだ! なんとかしやがれ!
その時、胸のクリスタルが眩く青白く光る。オレは青白い光が眩しくて、顔の前を手で遮る。
顔の前を手で遮る指の間からホバーボードが縦になってマフラーから火を噴き、真っ直ぐにミサ の元に飛んでゆくのが見える。さっきの魔物の攻撃でホバーボードが損傷して火花を散らしながら。
ミサに追いついたホバーボードはミサの身体の下に潜り込み、ホバーボードの上にミサの身体がうつ伏せに乗っかり、ゆっくりとホバーボードは下がってゆく。
オレはミサに親指を突き出す。頼むぜ、ネロ。 ミサを守ってくれ。
なんとかなるだろ。オレは安心してため息を零し、水飛沫を手で遮りながら辺りを見回す。 どっかにフックショットを引っかけられれば助かるかもしれねえ。
オレはフックショットを握り締める。
滝の裏の岩壁にフックショットを引っかけるのもいいが、滝の流れが早い。
他にフックショットを引っかけられるような岩や木がない。
やっぱ、近くに引っかけられるようなもんはねえか。そんな甘くねえよな。
オレは瞼を閉じて首を横に振る。
オレは緊張で生唾を飲み込んで喉を鳴らし、滝の端の突き出た岩壁に向かってフックショットを構えて、フックショットの引き金を引く。
ワイヤー足りるか? けっこう岩壁まで距離あるな。オレは額に手を当てて、岩壁までの距離を確かめる。
銃口から勢いよくワイヤーが飛び出し、岩壁に突き刺さったフックショットにオレは引っ張られる。
「岩壁に叩きつけられる! そこまで考えてなかったあああああ!」 オレは舌打ちして、フックショットを両手で構えて引き金を引く。
岩壁に突き刺さったワイヤーが抜けてワイヤーが巻き取られ、オレの身体が逆さまに滝壺に吸い寄せられてゆく。
オレは大きく息を吸って吐いた。
最後にこいつを頼ることになりそうだ。不思議と死ぬ気がしねえ。
「なんとかしやがれ! ただの飾りじゃねえだろうが!」
オレは瞼を閉じ、胸のクリスタルを片手で握り締めた。
その時、滝の向こうから大きな翼が羽ばたく音が聞こえる。
なんだ? オレは思わず験を開けて、音の方を見た。
クリスタルの青白い光がオレを包み込む。
オレの視界に白色の大きなドラゴンが羽ばたきながら、口から炎を吐き、物凄い速さでオレに近づいてくるのが映る。 白色ドラゴンの瞳は吸いこまれそうな透き通る 大きなサファイアブルーだった。まるで大きなサファイアブルーの宝石の様な瞳だ。
白色のドラゴンが火を噴いた熱気がオレを襲い 、オレは顔の前を手で遮る。
物凄い熱気でむわっとする。冷たかったオレの身体が温められる。
な、なんだよ、あいつ。魔物か? オレを捕まえる気なのか? それとも腹が減ってオレを食う気か?
「ワハハハハッ! 感じる、感じるぞ! 久しいオーヴの力だ! ワタシは長い眠りから覚めたぞ!」
人語を操るよく通る声が近づいてきたと思ったら、白色ドラゴンがオレを一瞥して、白色ドラゴンの大きな影がオレの下を通り過ぎる。
次の瞬間、ばさっと翼を広げるような大きな音がして、オレの背中がごつごつと硬い物に触れた
見上げると、白色の大きなドラゴンが仰向けになって両手でオレを抱いていた。
白色ドラゴンの指の鋭い爪が視界に入り、オレはぞくりと寒気がしてぷるっと震える。 「うわっ! お、下ろせ! 魔物が!」
オレは白色ドラゴンの腕の中で手足をバタバタさせて暴れた。
まだクリスタルが青白く輝いているので、オレはクリスタルをそっと握り締めた。
不思議と安心して落ち着き、大丈夫だと教えてくれている様な気がした。
白色のドラゴンが身体をよじって、呆れたように大きな首を横に振る。
「やれやれ。無暗にオーヴを使い過ぎだ、マスターよ。お前は疲労の限界がきているはずだ、少し
眠るがいい」
気持ち良さそうに両翼を羽ばたかせて、大きな滝から離れ、白色ドラゴンは川沿いをゆっくりと 飛んでゆく。
その時、オレの眼下に川岸に寄せられてうつ伏せに倒れているミサが目に入る。
ミサの傍にはホバーボードが裏返って火花が散っている。
川岸の樹の影から現れた一人の黒装束が肩に掛けたマシンガンを構えてミサにゆっくりと近づいてゆく。 オレの鼓動が高まり、急な眠気から一気に覚める。
「お、おい! 下ろしてくれ! ミサを助けないと!」
オレは白色のドラゴンの硬い皮膚を肘で小突いた。
肘が痺れてびりびりして、オレは痛みで肘を押さえて呻いた。
「倒れているあの子かい? ちょっと様子を見ようじゃないか」
白色のドラゴンがミサの上空を旋回し始めた。
黒装束の男がミサを肩に担ぎ、ホバーボードを脇に挟んで、黒装束は旋回している白色のドラゴンを仰ぐ。 黒装束は顔が黒いフードで覆われ、口許も黒い布で覆っているため、性別がわからず、表情も見えない。
やがて黒装束はミサを肩に担ぎ直して歩き出し 、奥の樹の影に消えた。
白色のドラゴンが旋回をやめて羽ばたき、森の奥を見つめている。
「ふむ。近くに野営地があるみたいだね、テントが幾つか張ってある。そこの連中みたいだ、あの子を攫った奴は。どうするんだい?」
白色のドラゴンが欠伸をして火を噴いた後、オレに訊いてきた。 久しぶりに見たわタロイモガイジ
多分シャミ子スレ立ててるのも同じ奴やろ? オレは白色のドラゴンの視線を眼で追った。
白色のドラゴンの視線の先に野営地があり、テントが幾つか張ってあった。
野営地から白煙が昇って、風に乗っていい匂いがオレの鼻腔をくすぐる。
匂いに反応するように、オレの腹の虫が鳴った
そういえば、腹が減ったな。ミサが持ってきた菓子、全部食ったしな。
ミサの奴、本当はネロとのデートで食うつもりだったんだろうけど。
オレはお腹を擦るが、腹の虫は食いものをよこせと鳴き続ける。
オレは額に手を当てて、よく野営地を見ようとする。
あいつら、ラウル古代遺跡を調査しにきた探検隊か?
それにしても、こんなところに開けた場所があるなんて。
そうだ。あいつらに訊いてみよう、ラウル古代遺跡のこと。何か知ってるはずだ。
その前に、オレはミサを助ける。 オレは野営地を睨み据え、拳を握り締めた。
「ミサを助けに行く! 野営地に行ってくれ!」
オレは白色のドラゴンの腕の中でじたばたと暴れた。
白色のドラゴンはオレを摘まんで、顔の前までオレを持ってくる。
「ワタシは反対だね。マスターの疲労が酷い。今野営地に行ったって死ぬだけさ。ワタシとお前で攻めるつもりかい? 冗談じゃないよ。敵の数が多い。よく考えな」
白色ドラゴンは眉根を寄せて口を結び、白色ドラゴンの鼻息がオレに飛んでくる。
白色ドラゴンの声が子守唄の様に、波の様に揺らいで聞こえる。
な、なんだ。急に眠気が襲ってきやがった。 「ミサがミサを助けなくちゃ....」
オレは目がうとうとして船を漕ぎ始める。
白色ドラゴンは馬鹿にするように鼻で笑う。
「オーヴを使ったにしちゃ、よく身体が持ったほうだ。大したもんだよ」
オレはそこで気絶した。
目の前が真っ暗になる。 白色ドラゴンは馬鹿にするように鼻と喉を鳴らして笑う。
「オーヴを使ったにしちゃ、よく身体が持ったほうだ。大したもんだよ」
オレはそこで気絶した。
目の前が真っ暗になる。
突然、オレの頭に映像が流れる。
どこか大きなテントの中で、頑丈な檻の中に閉じ込められているのか画面が左右に揺れる。
テントの入り口からちらっと外が見えて、黒装束がライフルを肩に担いで通り過ぎる。
『ねぇ、ネロ。カイトが助けに来てくれるよね?』 ミ、ミサか? なにやってんだよ?
これはミサが見ている映像か? わけわかんねぇ。
なんでオレが夢見ているんだよ。
映像がネロに固定される。
ネロは檻を背に片足の膝を曲げて檻に凭れて座り込み、片足の膝を曲げた膝の上に腕を載せている。
ネロは黒縁メガネの奥で遠くを見つめている。
やがて黒縁メガネをゆっくり外して、ジャケットの内ポケットから取り出した布でメガネのレンズを拭いている。
ネロはジャケットの内ポケットに布を突っ込み、黒縁メガネを片手で掛ける。
『ボクとしたことが油断した。ミサの魔法が消えて、敵の野営地に落ちるとは。カイト、お前が頼りだ』
ネロは顔を上げて後ろ頭を檻に凭れ、物思いに耽って何故か鼻で笑った。
映像は雑音とともにそこで途切れた。 どれくらい時間が経っただろう。
ふとオレの鼻腔をいい匂いがくすぐる。
なんだ? いい匂いがする。オレは匂いを嗅ぐ。
匂いに釣られて、オレは瞼をゆっくりと開ける。
オレの視界に女の顔が揺らいで映る。
辺りを見回すと森の開けた場所だった。
視界が揺らいで気持ち悪い。
オレは女に視線を戻す。
女は髪が雪の様に白いミディアムヘアで肩に髪がかかるくらい。
整った目鼻立ちで、瞳は吸い込まれそうなサファイアブルー。
耳に蒼い滴の形をした透明なクリスタルのピアスを付けて、風でピアスが小さく揺れている。
服は長袖の青コットンのロリータクラシックドレスで黒いショートブーツを履いている。 女の髪が風で優しく靡く。
女はオレの顔を不思議そうに覗き込み、両手を腰に当てて不気味に歯を見せて笑った。
「うわっ!」
オレは驚いて慌てて上半身を起こす。葉っぱデザインの薄い毛布がオレの上半身からずり落ちる。
どうやら、オレは大きな切り株の上で寝ていたらしい。木の香りがする。振り向くと木の枕がある。
なんだ、この枕。不思議に思い木の枕を人差指で触ってみると、意外にふわふわで柔らかい。
人差指を離すと風船の様にゆっくりと膨らんで面白い。
その時、頭痛がしてオレは顔をしかめて額を手で押さえる。
「うっ」 気分が悪くて吐きそうだ。
頭痛を訴えるようにオレは女を見上げて睨み据える。
女は腕の前で両手を組み、勝ち誇ったように仁王立ちして喉の奥で笑っている。
「オーヴに選ばれし者にしては、まだまだ力の使い方がなっておらんの。お前はあれから二時間も気を失っておったんじゃ。無理もないわい」
女はやれやれと肩を竦める。
オレ額を手で押さえて顔をしかめながら女を睨み据える。
「あんた誰だよ?」
オレは頭痛で額に変な汗が滲む。
女は馬鹿にしたように胸の前で両手を組んだまま、鼻と喉を鳴らして笑う。
「お前を助けたじゃろ? 忘れたか? フフフフッ」
女は不気味に喉の奥で笑う。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています