0001それでも動く名無し
2022/11/09(水) 15:14:55.25ID:N2U9vyR7rhttps://news.yahoo.co.jp/articles/13d747415730b98dd1ee72e7fb4449d03158e281
アルコールが染みたウエットティッシュを片手に自宅の床、ドアノブ、ソファを手際良く拭いていく。長野県の東北信地方に暮らす40代男性は、ちょうど2年前に一家で新型コロナウイルスに感染して以来、この作業が日課となった。めったに人は訪ねてこないが、やらないと不安になる。
県内は感染「第3波」の初期だった。今月8日時点で累計25万人を超えた感染者数は当時、累計300人台。ごくまれに出る集団感染を除けば1日当たり一桁だった。
入院先のベッドで横になりテレビをつけると、ニュース番組が感染者同士の関係性などを事細かに報じていた。「自分たち家族のことだ…」。小学生の息子は表情を変えずに画面を見つめていた。
子だくさんなこともあり、年代や性別、居住地などの情報から地元ですぐに特定され、うわさになった。
10日間の入院が終わって農産物を扱う作業所での仕事に復帰すると、同僚から「離れて」と言われた。復帰翌日は気が重く欠勤。1週間ほど無視され、屋外で孤独に昼食を食べることもあった。
近所の人からは、白い目で見られている気がした。妻との関係が悪かったことも影響し、1年後ぐらいから精神科に通院。仕事を辞め、行政支援を受けるようになった。
小学生の娘はたびたび、マスクを着け忘れて買い物に出かけてしまう。洋服の首元を引っ張って口元を隠すが、そのたびに温厚な息子が「なんでマスクしないの」と叱りつける。息子は多くを語らないが、男性は「学校でつらい思いをしたんじゃないか」と想像する。
男性は今も同僚の冷たい表情を思い出す。「本当に怖いのはコロナじゃなくて、人だった」。感染しなければ人間不信に陥らず、家庭環境も今ほど悪化しなかったと思う。
新たな感染症が流行すれば、自身と同じ思いをする人が出てくるのではないか―。「注意喚起も必要だけれど、感染者の人生をどう守るのかも考えてほしい」