彡(゚)(゚)「今日は…やきうが…」
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彡(^)(^)「ないけど昨日までいい試合見れたなぁ、ほな今日もバスの運転頑張ろ!」 俺たちはバスに乗って空港に向かっていた。
1時間くらいの道のりだ。
「ジジイさ、今日何の日か知ってる?」
隣のろーたんが話しかけてくる。
「え、わからん」
「11月11日。ポッキーの日」
ろーたんはポッキーの箱を持っていた。 「あげる、はい」
「ありがと」
ポッキーは久しぶりだ。
ろーたんも自分の分を食べている。
「そうだ、アレやろうぜ」
「アレ?」
「ポッキーといえばこれじゃん」
ろーたんが新しいポッキーを指先で持ち、自分の口の前に水平に浮かせた。
「ポッキーゲーム」 「ちょ、え、2人で?」
ポッキーゲームっていうのはふざけたり飲み会のノリだったり、
周りが見てる中でやるものだと思っていた。
俺たちは起きてるが、このバスで他のメンバーはみんな寝るかイヤホンをつけてスマホを操作している。
そんな中でやってもただ恥ずかしいだけというか…。
相手がろーたんだからなおさらなんだけど…。 「うん、2人で、ほら」
ろーたんがこちらにポッキーの持ち手の方を向ける。
「ろーたんちょっと待って、チョコの方がいいんだけど…」
「そんなとここだわる?」
ろーたんが笑う。
「なんか損した気分というか…」
「ジジイ甘いの好きだったっけ?」
「うん、結構好きだよ」 「しゃーねーな」
ろーたんがポッキーの向きを変える。
「俺はチョコあるとこと、無いとこと、両方あるからいいと思うんだけど、ほら」
そう言って持ち手の部分を咥えた。
「ん」
俺にチョコのついた先を咥えるように促す。
俺は口先をつける。
カリ…。
ろーたんが少しずつポッキーを食べ進め始めた。 俺も同じくらいの速さになるよう、慎重に食べ進めた。
砕かれたチョコの甘みが口の中に溶けて広がるのを感じる。
ろーたんと少し目が合う。
恥ずかしくて、少し笑ってしまった。
つられてろーたんも笑う。
鼻息が俺の鼻先に当たる。
だんだん距離が近づく。 彡(゚)(゚)「あすいませーん、道悪いんで少し揺れますよー」
ガタン。
運転手さんのアナウンスが流れた直後にバスが揺れた。
ろーたんの頭が揺れ、倒れそうになった。
その瞬間唇に、ポッキーとは違う、暖かい感触があった。
すぐに胸が高鳴るのを感じる。
幸せ、気まずい、恥ずかしい…いろんな言葉が高速で頭の中を回る。
「んっ…」
1、2秒間だけ触れた唇はすぐに離された。 ろーたんが残りのポッキーを噛んで飲み込んでいる。
「ろーたん大丈夫?喉とか引っかからんかった?」
「大丈夫だけど…こんなん誰かに見られてたら大爆笑だな」
「たしかに」
うるさくならないように2人で少し笑い合った。
こういうバカなことを楽しめて、背が高くてかっこよくて、イタズラっ子なろーたんのことが好きだ。
たまらなく好きだ。
唇にはまだ暖かい感触が残っていた。 空港に到着した。
俺とろーたんは当然別々の空港に向かって飛ぶので、ここで別れることになった。
「そんじゃ、また、元気でな、風邪ひくなよ」
「ろーたんこそ、またね」
手を振り合ってそれぞれ歩き始める。
今年はもう会えないだろう。
もう少し目に焼き付けようかと思って振り向いたが、もう背中しか見えなかった。 飛行機に乗った。
ろーたんとのことを思い返していた。
今年は本当にいい年だったと思う。
ろーたんとぐっと仲良くなれたし、二人で活躍して一緒に代表になることもできた。
でも、もっと、何かあったんじゃないだろうか。
素直な気持ちを伝えるとか、今日みたいなふざけた遊びでもいい。
まだ1ヶ月半も今年は残っているのに。
ポッキーのチョコの部分はすっかり食べ終わり、持ち手の部分だけが残ったような気持ちになっていた。 ろーたんの言葉を思い出す。
『俺はチョコあるとこと、無いとこと、両方あるからいいと思うんだけど』
そうなのかもしれない。
会えない時にも気持ちは育つ。
それも大事なことなんだろう。
窓の外を見ると、もう暗くなってきていた。
日が落ちるのが早い。
少し寝よう。
もう唇の感触は残っていないが、
あの時の気持ちを少しだけ思い浮かべながら、俺は目を閉じた。
END ※全てフィクションであり実在の人物や団体には一切関係ありません! ろーじじ尊いンゴねぇ
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