【記者の目】中日阿部寿樹放出はディフェンス強化を優先させたチーム事情 楽天涌井とトレード

 中日による主力野手阿部のトレード放出は、球団総意のディフェンス強化が優先されたものだった。今季チーム打撃成績の62本塁打、414得点は12球団最弱。単純に攻撃力増が補強の優先点に見られがちだ。しかし、立浪監督が昨オフの就任以来、最優先課題に掲げているのはセンターラインの強化。投手力を中心としたディフェンス力の安定だ。
 大野雄、柳、小笠原の先発3本柱がいて、清水、ロドリゲス、R・マルティネスの勝利方程式が固まっている。今季のチーム防御率3・28はリーグ2位。高卒2年目の高橋宏がブレークし、ベテラン松葉とともに6勝を積み上げたが、その後に続く先発陣が固められず苦しんだのが現状だ。アーチが出にくく、投手有利の広大なバンテリンドームが本拠地。立浪監督はドミニカ共和国で新外国人大砲発掘へ陣頭指揮を執っているが、獲得できても得点力増には不確定要素が大きい。154勝右腕・涌井の獲得は、立浪竜の方向性に合致したものだった。
 ドラフトでは2位指名の明大・村松開人(21)を始め、社会人選手など内野手4人を指名した。レギュラー格だった32歳阿部の放出には、ディフェンス強化を優先させたチーム事情があった。【中日担当 伊東大介】
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