ソニー生命保険の子会社の口座から約168億円を不正送金したとして、詐欺罪などに問われた元社員の石井伶被告(33)に対し、東京地裁(小林謙介裁判長)は18日、懲役9年(求刑懲役10年)とする判決を言い渡した。

 判決によると、被告は2021年5月、業務上の正規の資金移動を装い、英領バミューダ諸島にあった同社の子会社「SAリインシュアランス」(SA社)の口座から、別の米銀行の口座に約1億5493万米ドル(約168億円)を不正に送金し、全額を暗号資産「ビットコイン」に交換した。

 公判で被告は動機について「眠っている会社の資金をビットコインに投資し、巨額のリターンを生んだ段階で会社に全額返還するつもりだった。そのうえで、交渉して利益の一部を自分のものにしたかった」と語った。

 不正送金された資金はFBIに回収され、今年8月にソニー生命に返還されたが、ビットコインの値上がりや為替変動によって約168億円から約221億円にふくらんでいた。裁判に出廷した同社幹部は「犯罪防止や犯罪被害者救済のために寄付することを検討している」と述べていた。(村上友里)
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