0001それでも動く名無し
2022/11/22(火) 04:32:04.77ID:w8vH7aBL0「もう…起きないといたずらしますよ」なんて冗談を投げかけてみたが、伏せられた睫毛はぴくりとも動かなかった。
それにしても、相変わらず見惚れてしまう顔をしている。
僕よりずっと年上なのに、僕よりかっこいい。
起きている時だってこの顔を見つめていたいのに、僕からの視線に対してこの人の勘はいつも鋭く「見るな!ボケ!アホ!」とすぐに顔を背けてしまうのだ。
顔立ちを視線でなぞり記憶に刻み込む。
瞼を、鼻筋を、唇を───気がつけば無防備な唇から目が離せないでいた。
「本当に…起きてないんすか」
身体中に響く心臓の音は警告なのだろうか。けれど衝動が、本能が抑えられない。
起きてしまわないように息を止めて。
そっと唇を重ねた。