東京都内の公立小学校で、今年度当初で約50人だった教員の欠員が、夏休み明けに約130人にまで増えたことが都教育委員会への取材でわかった。休職者の増加などが原因とみられる。年度途中の補充は難しく、学校側はハローワークに求人を出すなど人員確保に努めている。

【グラフ】ひと目でわかる…公立校教員の「なり手不足」は深刻だ

 学校現場は近年、教員不足が深刻化しており、都教委は今年度、始業日(4月7日)のほかに5月1日、9月1日の各時点の欠員状況を初めて調べた。それによると、始業日で約50人だった欠員は5月1日時点では変わらなかったが、9月1日時点で約130人に増えた。病気による休職のほか、産休・育休の取得、自己都合の退職が増えているとみられるという。

 都教委によると、各校は例年、新入児童数がほぼ確定する3月下旬から、都教委に登録した採用希望者らに声をかけ、4月に集中して補充する。今年度は、始業日までに1744人を補充した後、9月1日までに443人を追加で補充した。都教委の担当者は「補充を上回るペースで欠員が増えた。年度途中で採用したくても、別の仕事に就いていることを理由に断られることも多い」と頭を抱える。

 欠員が補充できない小学校では、校長ら管理職が教壇に立つなどしている。板橋区教委では、今年度初めてハローワークに求人を出した。区教委の担当者は「教員免許を持つ人材は限られるが、とにかく広く募るしかない」と語った。