0001それでも動く名無し
2022/11/23(水) 13:52:32.13ID:3jYUjleBrhttps://maidonanews.jp/article/14774987
「残念ながら境内のトイレは撤去することになりました」。兵庫県西宮市、六甲山の麓にある高野山真言宗鷲林(じゅうりん)寺の境内で21日から、参拝者用トイレの撤去工事が始まりました。
市の都市景観賞を受賞した美しい外観のトイレがなぜ。住職の藤原栄善さん(62)に話を聞くと、苦渋の決断であることが分かりました。
◆汚され、壊され、暴言も
同寺は平安時代、833(天長10)年に建立。藤原住職は今から40年前の22歳のとき、先代からお寺を引き継ぎました。
その当時から悩まされていたのは、境内のトイレを使うハイカーたちのマナーの悪さでした。
境内のトイレは本来、参拝者用に用意していたものでしたが、「9割はハイカーの方が利用されます」。
「ハイカー全員ではなく、ごくごく一部の方ですが、トイレを汚しても拭き取らず、そのままの状態で立ち去られます。
山歩きの途中に便意を催し、必死になって歩いて来られ、間に合わずに便器の周辺まで汚してしまったという様子です。飛び散った汚れをそのままにするのは男女問わずです」
実はこのトイレ、2007年に檀家の高齢女性からの高額な寄付で建てられたものでした。
「それまではずっと水洗ではない、昔ながらのトイレでした。古いトイレとはいえ、お寺には参拝しない、見ず知らずのハイカーの人たちに汚されることに、
檀家さんであるおばあちゃんは心を痛めておられました。それできれいなトイレを寄進しますと申し出てくださいました。『トイレを新しくしたら、汚くはしないでしょう』と。
弘法大師の言葉を短冊に書き入れ、トイレの壁面に飾り、『布教もできるトイレ』として完成しました」
◆寄付した高齢女性「人の心を信じてたけれど…」
新設後、利用者の行動に変化はあったのでしょうか。
「一部の人によるマナーの悪さは変わりませんでした。誰が残したものか分からない汚れを、お寺で一生懸命掃除をしましたが、人員も限られています。
ずっとトイレ掃除ばかりもできません。たまたま汚された直後に利用した人が『トイレが汚い』とSNSに投稿したのを見た時は残念な気持ちになりました」
一部のハイカーによる常識のない行動はこれだけにとどまらず、手洗い場の水道の栓を壊されたり、トイレットペーパーを持ち去られたりしたことも。
「『トイレットペーパーがないじゃないか!』と怒鳴られたこともあります」。
さらには、法会中の本堂や鐘つき場に腰掛けて、平気でお弁当を広げる人がいるというから驚きます。
とうとう手に負えなくなり、今年の夏に撤去を決意。
新品のトイレでも変わらなかった利用マナー。寄付をした高齢女性の心中はーー。
藤原住職に様子を尋ねると「寄進してくれたおばあちゃんは2年前に亡くなられました。亡くなる前にもお話をしましたが、
『人の心を信じてたけれど、残念やな』と言われていました」と無念そうに教えてくれました。