元少年は16歳だった2015年3月28日夕、尼崎市内のJR宝塚線の踏切に向かって無免許でオートバイを運転。美輝さんの自転車を足で押して時速49キロ前後で並走し、遮断機の降りた踏切に進入させた。美輝さんは電車と衝突し、亡くなった。

 裁判員裁判で、元少年は美輝さんが大声で「怖い、怖い」と繰り返す中で自転車を押したとされ、16年12月に神戸地裁で懲役4年以上6年以下の不定期刑が言い渡された。

 神戸市の犯罪被害者週間講演会で、美輝さんの母親は「加害者はこれから人生を送る機会が保証されているが、息子は帰ってこない」と話した。美輝さんが戸籍から除かれた際、大きく書かれたバツを見て声を上げて泣いたという。「成人式の案内は来ない。いろんなものから外され、忘れ去られていく」

 自死、友人同士の遊びで起きた事故-などの誤った情報にも傷つけられたが、美輝さんの友人や恩師、警察官、他の犯罪被害者遺族らに支えられたという。