0001それでも動く名無し
2022/12/09(金) 21:09:22.47ID:zpImsmyO0ココアが重いトランクを引きずって歩き続けた先には、砂漠の中に孤立したように存在する、さびれたダイナー兼ガソリンスタンド兼モーテル「ラビットハウス」があった。その店ではちょうど、女主人・チノちゃんが、仕事をしない夫を怒鳴り散らし、追い出したところだった。モーテルの部屋を借りたココアは、部屋の壁に飾られた、2つの太陽(幻日)が輝く空を描いた風景画に魅了される。われに返り、着替えようとトランクを開けるが、そこに入っていたのは夫の着替えや生活用品だった。持ってきたのは自分のトランクだったが、荷物を詰め間違えていたのだった。部屋の掃除に入ったブレンダは、男ものの服やひげ剃りなどが部屋に広げられているのを見て不審を抱く。
暇をもてあましたココアは、勝手に店の大掃除をしたり、赤ん坊をあやしたりするうち、ラビットハウスの店員のようにふるまうようになり、少しずつチノちゃんの警戒を解いていきつつ、カフェに集う人々とも打ち解けていく。また、夫の荷物の中に入っていた手品練習セットで遊ぶうち、手品の腕前が上達し、カフェの客に披露すると、評判が評判を呼んで、かつて閑古鳥が鳴いていた店は、マジックショーを上演するダイナーとして大繁盛となる。