「それでも私はマスクしません」ピーチ機運航妨害に問われた被告が言いたかったこと 着用拒否は差別か我欲か、法廷は異例の“厳戒態勢”

 証人尋問が進む中、被告はいすに深く腰かけ、時折持参したパソコンのキーボードを叩いたり、あらわになった口元をなでたりするだけで、自ら発言することはなかった。だが自身のツイッターでは「マスクは論理破綻した偽善」「コロナ騒動で、社会や法律がどんどんバカになる」と書き込み、多くの人がマスクの着用を続ける状況を強い言葉で非難した。

 一方、検察側は、マスク未着用を理由に周囲から突然不当な扱いを受けたという主張に対する疑問や、証人の証言との差異に対する質問を投げかけた。被告は正面から答えず、「それはあなたの感想です」「以前答えたとおり」と打ち返した。

 双方の主張が終わり、裁判長から「最後に言いたいことは」と問われた被告は、A4の紙を掲げ「ここに1枚の絵があります」と話し始めた。取り出したのは「ルビンのつぼ」と呼ばれるだまし絵。「つぼだと聞かされて見ればつぼに見え、向き合った2人の顔だと言われればそう見える。色眼鏡で人々が物を見てマスクを強制することがさまざまな軋轢(あつれき)を生んできました」

 立ち上がったまま裁判官席や検察官席、時には後ろを振り返り、「コロナ禍でマスクはマナーやモラルに高められた」「マスクをしていない人の近くにいるだけで何らかの害にさらされるよう感じるのは過剰と言わざるを得ない」と語りかける。約30分の独白を「私は無罪です。飛行機でマスク着用に応じなかったことを誇りに思っています」と締めくくった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b62171c28b4bdcd42e485032e4d0571d4774eb99