0001それでも動く名無し
2022/12/26(月) 04:13:58.70ID:VHreagpD0湯船に浸かっているというのにくつろげない。
「何かいるんすよ!」「絶対いてへんわ!ボケ!アホ!」──ほんの少し前、そんなやり取りをした。
何か気配がするから1人で風呂に入れないから一緒に入ろう、という子供じみたお願い。
勿論拒否したはずだったが、どうしてか一緒に風呂に入ることになってしまったのだ。
決して大きくはないバスタブに、俺とこいつの2人。真っ白い肌をした巨躯に圧迫されている。
俺でさえ平均を外れた体格をしているというのに、そんな大男2人で湯船に浸かってこの上なく窮屈で堪らない。何をしているんだろうか。
「もうええやろ」
「56まで数えないとアカンすよ!」
「のぼせ……」
のぼせるわ、と言いながら立ち上がりかけるも少しふらついてしまった身体が、目の前の胸元にゆっくりと引き寄せられていった。
濡れた肌が吸い付くように触れ合い、水音だけが浴室内に響く。
「ふふっ、大丈夫ですか」
「おう…」
肩を支えられて、触れ合っていた身体が離れる。そうして向き合う。
ごく自然な動作だというのに、目が合った瞬間、心臓がぴょんと跳ねた。
そんなはずはないと自分に言い聞かせたのに、ほんのりと桃色に染まった白い肌から目を離せないでいる。
「そんなに僕の身体見つめたらアカン……ことないすよ」