0001それでも動く名無し
2022/12/27(火) 04:15:14.43ID:uLU11BB40携帯電話の画面を見つめたまま、先生は僕に問いかけた。
「はい。今は本業に全て注ぎ込むつもりっす」
「そーか」
思わず緩みそうになった口元を必死で繕う。ぶっきらぼうな返事の中に、嬉しさが垣間見えた気がした。
ここで調子に乗った状態の僕だったならば、すぐに「嬉しいっすか?」とからかっていただろう。
今の僕は久しぶりに会えた先生の姿をただ見つめて、癒されたかった。
「…もしかして記事見てます?」
「当たり。…ってなんやこれ、かわすような回答やなぁ」
心当たりがあるものばかりで、体の中で小さな波が立つ。
いくつか受けた質問と回答が載せられているようで、きっと先生はそれを見ている。
──気づいてくれるだろうか。
可愛い系でもなく、綺麗系でもなく、かっこいい貴方。
傍にいるだけで幸せな気持ちになれる。時に激しく時に切なく、それでも最後には温かい、そんな恋を教えてくれる。
歳の離れた愛しい貴方へ。
たった4文字の「好きです」がいつも紡ぎ出せなくて、今日も心臓がきゅうと締めつけられた。