取材の仕事を終えて、先生と会った。
元気そうで安心したけれど、少し様子がおかしい。
なんというか、大胆だ。ソファーに座らされたと思えば、僕の膝の上に跨ってきたのだ。
「お誘いですか?」
微動だにしない唇を見つめていると、ふとこちらに伸ばされた手が僕のネクタイを掴んだ。
アカンすよ、そう言おうとして開いた口に、舌を差し込まれる。
細切れの吐息、お互いの唾液を絡ませる音。2人を纏う空気が次第にそれらしくなっていく。

しゅる、と顎の下で何かを解くような音がして、同時に首元の締まりが緩くなった。ネクタイを解かれているのだと分かった。
着飾ったスーツはきっとこれから脱がされるのだろう。
少し先の未来を想像しながら混ざり合った唾液を飲み込むと、触れ合っていた唇が離れる。
ゆっくりと瞼を開きかけたその時、先生が手にしていたネクタイらしき布が僕の双眸を覆った。

「目隠しプレイ…?」
「うん、取ったらアカンで」
遮断された視界、感覚が集中している耳に艶気を含んだ声で囁かれると、理性を失ってしまいそうになる。

「こんな趣味があったなんて、変態さんですね…アカンすよ」
「うっせんじゃボケ…」
僕たちは無意識に、熱で軋んだ身体を擦り付け合っていた。