潤沢な資金を武器にスター選手を次々と獲得し、2010年代のアジアサッカー界勢力図を塗り替えたのが中国勢だった。中でもJリーグ勢にとっても厄介な相手となったチームの1つが広州FC(前・広州恒大)だ。広州恒大の名前で記憶している日本のサッカーファンも多いだろう。

ムリキ、ダリオ・コンカ、エウケソン、パウリーニョ、アレッサンドロ・ディアマンティ、ジャクソン・マルティネスなど海外から実力者を引き抜き続け、2011年からは中国スーパーリーグ7連覇を達成。マルチェロ・リッピ、ルイス・フィリペ・スコラーリなど海外で成功を収めてきた名将を招聘していたのも印象的だった。

しかし、そんな広州FCがまさかの2部へ降格することになった。痛手となったのは恒大グループの経営破綻で、チームはここから一気に急降下。マネーパワーで急速に力をつけた広州FCは、力を失うのも早かった。

今年の広州FCは序盤から勝ち点を稼げず、27日に行われたリーグ第33節で長春亜泰に1-4と敗北。順位は18チーム中17位に沈んでおり、最終節を前に2部へ降格することが決定。ACLも制していたチームが今年は3勝しか挙げられていない大転落劇であり、今後は2部となる甲級リーグでの戦いだ。

広州FCは2013、2015年にアジアチャンピオンズリーグ(ACL)も制しており、2013年には柏レイソルが準決勝で2試合合計1-8のスコアで敗れた。2015年大会では再び柏レイソル、続いてガンバ大阪が敗れるなど、ブラジル人選手を中心とする広州FCの攻撃力は強烈だった。広州FCに勝たなければACL制覇は難しいとの認識もあった。

だが、強豪にはなりきれなかった。英『GIVE ME SPORT』は「広州のオーナーはクラブをマンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンに匹敵する巨大なクラブにしようと、過去10年にわたって巨額の資金を投じてきた。しかし結果として財政難に陥り、大きな代償を支払うことになった」と広州FCの転落劇を伝えている。

今年のACL2022でも決勝トーナメントに進んだ中国勢はゼロ。日本のライバルはアル・ヒラルなどサウジアラビア勢に移り変わっている。

海外からスターを集める中国スーパーリーグのやり方は実力を急上昇させたが、若手の育成など中国サッカー界全体の底上げに繋がったとは言い難い。広州FCの2部降格は1つの時代の終わりと言えそうだ。

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