彼と話していると、目の前の相手が、野球選手であることを忘れてしまう。どこか外国の安宿にたむろしているバックパッカーの姿と重ね合わせてしまう。彼にとって、体育会気質がいまだ残る日本の野球界は決して居心地のいい場所ではなかったはずだ。

「まあ、確かに違いますね、僕と彼らとは。高校の同級生はいまだに甲子園に出た時のテレホンカードとかを名刺代わりに配っていますね。『甲子園』で営業の数字取れるって。それもそいつがいいと思ったているなら、いいんじゃないですか。僕はそんな人生絶対歩みたくないですけど。プロに入ってからも、野球選手とは会話にならなかったですね。彼らは野球の話もあんまりしないです。女性、車、酒(笑)。ここで終わってるんですよ。その話の繰り返しの何が面白いのか僕には分からないし。だからそういうタイプの人とはしゃべらなかったですね。勉強にならないし、刺激もないし。もちろん野球については表面上の会話はしますよ。でも、野球以外の会話は絶対しない。現役時代からの付き合いのある人もいますが、それはみんな野球界の外側の話ができる人です」

https://news.yahoo.co.jp/byline/asasatoshi/20221227-00330265