投手の分業制が顕著になった現代の野球界。完投する投手は激減し、昨季NPBで複数回成し遂げた投手は19人(セ10人、パ9人)で、12球団最多は阪神・伊藤将司の6度だった。年間2桁完投した投手は過去10年で3投手しかいない。

 直近は2020年に中日・大野雄大が記録した10度。左腕はこの年、11勝6敗、防御率1.82、148奪三振で防御率と奪三振のタイトルを獲得。沢村賞を受賞した。

 その前は巨人・菅野智之が2018年に記録した10度。この年は最多勝、最優秀防御率、最多奪三振に輝き2度目の沢村賞を受賞した。パ・リーグでは昨季限りで引退した金子千尋がオリックス時代の2013年に記録した10度が最後。この年は15勝を挙げたほか、初の最多奪三振にも輝いている。

 ちなみにダルビッシュ有はハム在籍7年間(2005~2011年)で計55完投。年間2桁も4度達成している。楽天・田中将大はMLB挑戦前の2011年に14完投を記録していた。一方、2年連続“投手4冠”のオリックス山本由伸はこの2年間、6→4と推移している。

 ちなみに完投数の現役最多は中日・涌井秀章の60で、歴代1位の金田正一氏は365。今後、金田氏の記録を抜くことは不可能だろう。打撃力の向上や救援投手陣の充実等の要因から、完投の2文字は“絶滅”しつつある。

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