非常に大雑把な話をしますと、地球の大気中のCO2濃度は現在約410ppmで、産業革命前の1850年頃の280ppmに比べて約5割増えています。一方、地球の平均気温は産業革命前に比べて0.8℃上昇しました。日本の気温上昇は過去百年当たりで0.7℃。これは気象庁が発表している公式の数字です。

ですから、気温が上昇し地球が温暖化していることは事実なのです。しかし、この気温上昇がどの程度CO2の増加によるものかはよく分かっていません。

最近、猛暑になるたびに「地球温暖化のせいだ」と言われますが、事実はまったく違います。日本の気温上昇が100年で0.7℃ですから、1990年から2020年までの30年間では0.2℃程度上昇したことになります。しかし、0.2℃といえば体感できるような温度差ではありません。2018年に気象庁は「熊谷(埼玉県)で最高気温が国内の統計開始以来最高となる41.1℃になった」と発表しましたが、地球温暖化がなければ熊谷は40.9℃だった、という程度の違いです。地球温暖化はごくわずかに気温を上げているに過ぎないのです。

猛暑の原因は別にあります。気象庁は夏の高気圧の張り出し具合などの自然現象と、都市熱による影響の2つを挙げています。都市熱についていえば、都市化によってアスファルトやコンクリートによる「ヒートアイランド現象」が起こり、家やビルが建て込むことで風が遮られる「ひだまり効果」も出ます。こうした都市熱によって東京は既に約3℃も気温が上がっているのです。東京から離れた伊豆半島の石廊崎では1℃も上がっていませんが、これが地球温暖化による日本全体の気温上昇(0.7℃)に対応する数字と言えます。温暖化が原因で猛暑になっているわけではないのです。