0001それでも動く名無し
2023/01/20(金) 15:17:28.83ID:Oq/9xBgor都内の高校に通う普通の男子・虎井王我(とらいおうが)には誰にも言えない秘密の趣味があった。
それは、夜な夜なエッチな同人音声を聴きながら自慰行為に耽けること。
王我は、昨晩聴いた作品……お気に入りの声優・初洲(ういす)ぱあ子の淫らな囁きを思い出しながら学校へと向かっていた。
今日の一限目は英語の授業だ。コミュニケーション能力を身につけるレッスンとして、教室内の男女でペアを組み英語で自己紹介をし合うように指示される。
仲のいい女子などいるはずもない王我は相手を見つけることができず、教室の隅で縮こまって声をかけられるのを待っていた。周りが次々と相手を見つけ、拙い英語で会話を始める中、王我は自分と反対の隅で同じように縮こまっている女子を見つけた。
教師に促され、名前も知らない彼女と自己紹介を交わす。笹谷純(ささやきいと)と名乗る彼女の、今にも消え入りそうな声を聴いて、王我はふと気付く。声色こそ違えど、それは紛れもなく、あの初洲ぱあ子の声そのものであると。
ぱあ子の声でぼそぼそと話し続ける純。誕生日は12月5日、血液型はAB型、趣味は読書とゲーム、好きな食べ物は冷凍みかん……。それは、ぱあ子の個人サイトに記述されたプロフィールと寸分違わぬものだった。
放課後、帰路に就こうとする純を呼び止め、彼女を問いつめる王我。すると、彼女は案外あっけなくその事実を認めた。そして、彼女は耳元で、あの妖艶な囁き声で、こう告げてくる。
「お願い、このことは誰にも言わないで。貴方のお願い、叶えてあげるから──」。
そして、その口から立て続けに唱えられる「契約」。ぱあ子の声で、貴方の射精を管理してあげる……と。
「秘密」と「射精」、互いを縛る鎖で繋がれあった2人の、禁断の関係が今、はじまる──
