日南市と串間市の公立の小中学校で、給食用のパンが提供できない事態になっていることが分かりました。
この2つの市の給食用のパンを提供していたパン製造会社で、最近の物価高騰などに加えて半数の従業員が離職したことが原因で、再開の見通しはたっていないということです。

日南市と串間市では週に2回ほどパンが提供される給食があり、すべての公立の小中学校35校の給食に必要な一日およそ6000個のコッペパンなどを、1つのパン製造会社が製造していました。

この会社によりますと、原料となる小麦の価格や各学校への配送のためのガソリン代の高騰などの影響を受けていた中、先月には従業員10人のうち半数が離職し、人手不足に陥ったということです。

このため、会社では製造・納入することが難しくなったということで、2つの市では去年末から給食用のパンの提供ができない事態になっているということです。

2つの市では給食の献立をパンからごはんに変更するなどの対応をとっていますが、代わりの業者は見つかっておらず、パンの提供再開の見通しはたっていないということです。

公立の小中学校向けに給食の食材提供を担っている「県学校給食会」によりますと、今の給食費で最近の物価高騰などに対応することは難しく、ほかの業者も苦しい経営となっているということです。

NHKの取材に対して、給食用のパンを製造していた会社の社長は「人手不足、物価高騰の中、子どもたちにパンを届けようとこれまでなんとか頑張ってきましたが、これ以上は厳しかったです。ご迷惑をおかけします」と話しています。

【パンからごはんに変更 児童は】
今回の事態を受けて、日南市では12日、市内の3つの小学校と2つの中学校の合わせて5校の給食が当初予定されていたパンからごはんに変更されました。

このうちの1つ、東郷小学校では、当初の予定だった「こめこパン」から「ごはん」に変更された給食を児童たちが食べていました。

男子児童は「きょうはメニューにシチューがあるのでごはんはちょっと合わないかなと思う。またパンが出るようになってほしいです」と話していました。

一方、女子児童の1人は「私はパンよりもごはんのほうが好きなのでちょっとうれしいです。これからずっとごはんの給食でもいいです」と話していました。

このほか、「ごはんもパンも好きなので1か月に3回くらいはパンも出してほしいです」と話す男子児童もいました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20230112/5060014514.html