● コロナ禍は アフレコにも影響を及ぼした

 新型コロナウイルスの影響で、アフレコの現場にも変化が起こったと大塚監督は言う。

 「コロナ禍になり、アフレコのスタジオでは、人数制限や拘束時間が厳格に規定されました。それまでは大人数での収録ができ、アフレコ時間も4時間拘束が約束されていました。しかしコロナによって、少人数、かつ拘束時間は30分や1時間とするスタジオがほとんどになったのです」

 その結果、アニメ制作や声優を取り巻く状況に変化が生まれたという。

 「アニメ制作者側からの視点だと、アフレコで声優同士の掛け合いができなくなったことが大きいです。個別にアフレコをすると、声優同士の掛け合いによる一体感やライブ感を生み出すのがどうしても難しくなるからです。

 一方で、人気声優さんをキャスティングしやすくなった部分があります。収録1本の拘束時間が短くなったので、人気声優さんが一日にさまざまな作品に参加できるようになったからです。だから、現在は人気声優に仕事が集中している状況が生まれています」

 皮肉なもので、人気声優に仕事が集中するということは、「第2候補・第3候補だった声優」の仕事が減ることを意味している。「人気声優」の収入を増やし、「普通の声優」の収入を減らしたのがコロナ禍なのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3f8bfbe01d00a0ecafaa1960122b1c089f52b210?page=4