「子ども食堂行くな」の言葉に隠された母親の本意 「貧困対策」というラベリングが支援の必要な親子を遠ざける
https://news.yahoo.co.jp/articles/4222128f4666961f8f490c70cbc3943b1d66fe0d

子ども食堂は「貧困対策」のためにあると思われがちだが、目的はそれだけではない。孤食の解消や地域の交流、地元の農産品を使った食育などさまざまだ。「貧しい子が来る場所」というレッテル貼りは、本当に支援を求める子どもたちの足を遠ざけてしまう。

■「もう食堂には行くな」という母の本当の思い

 食堂の常連に、いつも閉館まで居残る小学生のきょうだいがいた。ひとり親家庭で、母親は仕事のため夜8時過ぎまで帰宅しないという。スタッフは食堂を片づけた後にきょうだいを家まで送るようになったが、あるとき母親にそれを見られた。母親には「もう食堂には行くな」と言われたが、子どもたちはその後もこっそりやってきた。

 「大好きな親にうそをつくってつらいでしょう。こちらも切なくなっちゃって、リスクはあると思いましたが、お母さんと話をすることにしたんです」(田中さん)
 母親に会い、「よかったら使って」と食材を渡した。後に上の子から、母親が食材を捨てていたと聞かされた。

■「パチンコ屋に通う親に楽させるの?」

 開設準備をしていたころ、田中さんは毎日前を通るおばあさんに「何をつくるの?」と聞かれた。子ども食堂だと話すと「私は反対よ」と言われた。

 「生活保護を受けているのに、パチンコ屋に出入りする人を私はたくさん見てきた。あなたの活動は、そういう親に楽をさせることになるんじゃないの?」

 田中さんは「なるほど、そう考える人もいるだろう」と納得しつつ、おばあさんに言った。
 「でもパチンコ屋に通う親を持ったのは、子どもの責任ではありません。私は子どもたちが境遇に関係なく、みんなで一緒にご飯を食べる場をつくりたいんです」