自らのトレーニングのため、ペイペイドームを訪れた斉藤コーチが“WBCショック”に反応した。「現場にいるものとしては選手がずっといてくれるんで、それはすごく助かるけど…」。チームの投手陣から選ばれなかったのは、5大会目にして初めてのこと。コーチとしての立場で言葉を選びながら、本音が漏れた。

 「プロ野球の代表に自チームの選手が選ばれていないというところは、ちょっと思うところはありますよ。やっぱり世界の舞台で戦っている姿を見たいという気持ちも正直ある。出れば出るほど、こっちは頭を悩ますことがいっぱいあるけど、日本球界のことを考えればね」

 何物にも代え難い経験が選手を成長へ導く。その思いは、自身の歩みから生まれたものだ。「世界と戦う経験って、自分が手を挙げてできるものじゃない。現に自分は一回もそういう舞台に立ったことがないんでね。うらやましさもあるし、経験は財産なので」

 近未来の“侍投手”を生み出すべく、春季キャンプでは「和巳流」の厳しさで選手の力を伸ばす。「キャンプの組分けを見て、先発もリリーフも、争わないといけない選手が多いというのはおのおのが分かっていると思う。この時点で分かっていないと、ちょっとしんどいかな。そういう厳しさの方が選手にとって一番しんどいんじゃないですか。こっちが厳しい言葉を言うよりも」。きっぱり言い切った。

 昨春キャンプは千賀、東浜、石川、和田らの主力組はB組スタートだったが、今年はこぞってA組に入った。「2月からはもう生き残りがね。シーズンが終わるまで続くので」。他球団もうらやむ投手王国の再建へ。寒波の中、斉藤コーチの意気込みは熱さを増すばかりだ。