明治22(1889)年、陸軍省は麻布に近代的な兵営を建てようとしていました。見積り約150万円。陸軍予算の1割以上。軍事費の大幅削減が叫ばれる中、浮上したのが丸の内の陸軍用地売却による資金調達でした。
松方蔵相は彌之助を訪ね、政府希望価格での買い取りを懇請します。彌之助は熟考の末、決断しました。「国家あっての三菱。お国のために引き受けましょう」。明治23年3月契約。約11万坪、128万円。