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今般のサイバーエージェント社における初任給月額においても、同様の「数字の見せ方マジック」が存在する。確かに初任給額は「42万円」だが、これは多くの人がイメージする「月額基本給(残業代・賞与別)」ではなく、「年俸額504万円を12分割した1カ月分の金額」である。12分割であるから当然ボーナスという概念はない。

 新卒初年度の年収で500万円超であれば十分高いと思われるかもしれないが、ここにもう一つのからくりがある。同社はこの年俸額の中に、あらかじめ規定時間ぶんの残業代を含める「固定残業制」をとっている。すなわち、初任給42万円は「残業代・賞与込み」の金額というわけだ。

 固定残業制とは、実際の残業時間にかかわらず、あらかじめ一定時間分の時間外労働に対して定額の残業代を支払う制度だ。「◯時間分残業したとみなして支払う残業代」であることから「みなし残業代」とも呼ばれる。

 従って、固定残業制のもとでは、規定時間になるまではいくら残業をしても残業代はつかない。そして、同社における規定時間は「固定残業月80時間分、深夜残業月46時間分込み」。この時間設定が物議を醸している。