彼は、「社会に殺された」…そう、訴えたかったのかもしれません。
正社員になれるはずだった会社を解雇され、婚約者には捨てられ、家族にも頼れない中、
住む家も、新たな仕事も無くし、がんばって取得した資格も役に立たず、福祉にも見捨てられ、
とうとう、犯罪に手を染めてしまった。そうまでして続けた就職活動もうまくいかず、
やっと得た安眠の場も追い出され、やがて、食べるためだけに歩く毎日になった。
それもしにくくなったある日、彼は以前住んでいたアパートに、新しい人が入ったことを
知ったのでしょう。これで、就職活動に使える住所もなくなった。
絶望するなと言うほうが、無理かもしれません。
その絶望を、誰かにわかってもらいたかったのかもしれません。
周りの人間も、そして彼自身も、手を差し出す勇気がなかったのかもしれません。
もし、どちらかが本気で手を差し出していたら、このようなことには、
ならなかったんじゃありませんかねえ。
残念ですねえ…。