戦力外となった現実は受け入れた。
 ただ。そう言って、平田が本音を漏らす。
「あの会見は、いらんかったなぁ」
10月4日。中日が平田の退団会見を開いた。チームの功労者としてしかるべき場を設けたいといった球団の温情を理解しつつも、本人の「いらんかった」の言葉には、ちょっとした後悔や懺悔も含まれていたのである。

 グラウンドで声を枯らしながら応援してくれたファンへ、涙ながらに感謝を述べた平田が、自由契約の経緯を説明する。

例えば――と切り出す。

「僕も人間なんで、気持ちの浮き沈みがあるんですね。
そんな時に『タオルや映像を用意して花道を作るから、引退する意思はないか?』と球団から言われたら、もしかしたら引退していたかもしれない。
でも、現役を続けたかったので、実際にそう言われたとしても退団を選択していたと思います」

「球団にセレモニーを要求」と報道されて…
平田からすれば、湿った会見の場を少しでも和ませようと努めた、いわば冗談だった。
しかし、報道陣にはそう受け取ってもらえず、<盛大なセレモニーはできないと球団から言われたため、退団を選んだ>
と、事実とは大きく異なる形で報道されてしまったのである。

これが火種となり、平田の退団会見はちょっとした“炎上騒ぎ”となった。