0001それでも動く名無し
2023/02/14(火) 02:05:26.04ID:/MxclGG+0「はい。特別っすよ」
僕から受け取った小さな箱を目を丸くして見つめる先生の顔は、これからどんな風に変化するのだろうか。
ほんの一瞬の間が怖くて視線を逸らした。
優しい人だから拒否することはないはずだ。でも、僕は仲間でも教え子でも何でもない。
先生が困惑してしまう可能性は僅かにあって、少し怖い。
息を呑んで待つ僕の手に、温かいものが触れた。それは先生の温もりで優しく包み込むように握られる。
顔を上げると、柔らかな微笑みを浮かべる先生がいた。
「ありがとう」
そのたった一言が僕の頬を熱くさせた。
胸が締めつけられて苦しくなる。この苦しさこそがきっと、恋なんだ。
自覚してしまうと余計に照れくさくなって、俯きながら「どうも」と小さく返事をした。
「……あ、お返しは3割増しでお願いしますね。僕3割1分だったんで、そのくらいでまけとくっす」
「調子乗んな、ボケ、アホ」