南インドの複数のヒンドゥー教寺院に、「デーヴァダーシー」と呼ばれる習慣が残る。選ばれた少女たちが寺院に召され、奉仕のための修練に励む制度だ。神霊に仕え舞を奉納することから、インドの巫女(みこ)とも呼ばれる。

 デーヴァダーシーの少女たちは、女神に嫁いだ身分とみなされる。かつては女神と人間のあいだを取り持つ存在として誰しもから敬われ、寺院での豊かな生活を保障されていた。ところがいまでは、宗教儀礼の名を借りた性奴隷として、耐えがたい日々を生きている。

少女たちはなかば公然と競売にかけられ、父親ほどの年齢の裕福な男性に初体験を買われ風俗街へ売られるなど、人道に外れた悪行の被害者となっている。インド政府は1980年後半からデーヴァダーシーを違法化したが、悪習は各地に根付いている。インド人権委員会は、現在でも南インドの一部に少なくとも7万人のデーヴァダーシーが存在すると発表している。

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