0001それでも動く名無し
2023/02/21(火) 09:29:12.88ID:UI7XC1P6rhttps://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64700966
高くそびえるモルドヴァ議会の建物の前を、不安定な列がゆっくりと通り過ぎる。モルドヴァ各地から数千人単位で、バスで送り込まれた人たちだ。そのひとりひとりが、貧困に苦しみ、フラストレーションを抱えている。
列からは、「私たちはお笑い種だ。政府にばかにされている」と叫ぶ声も聞こえた。
青いウールの帽子を被ったアラさんは、青ざめた顔を私にぐっと近づけ、「4~5人の子供がいて、文字通り何も食べるものがない人たちがいる」と言った。
同国のマイア・サンドゥ大統領によると、モルドヴァでは現在、光熱費が世帯収入の70%以上まで高騰している。
アラさんは、政府が自分の年金の半分を使い込んでしまったと語った。
「この政府を選挙で選んだ時、給与や年金を上げると約束した。でも今のところ、1バンもあがっていない」(訳注:「バン」はモルドヴァの補助通貨。複数形は「バニ」。100バニ=1レウ。1レウは約7.2円)
モルドヴァの親ロシア派政党「SOR」が主導した19日の抗議デモには、欧州をはじめとする各国が注目した。参加者の大半はバスでキシナウに送り込まれ、交通費はSORがまかなったと報じられている。
ロシアの介入を求める声も
ロシアのウクライナ侵攻以降、サンドゥ政権はモルドヴァのエネルギー資源の多角化を始め、ロシア産ガスへの依存を弱めようとした。しかし、ロシアがウクライナのインフラへの攻撃や、ルーマニアからの電気輸入コストなどが障害となっている。
サンドゥ大統領は、ロシアによる国家転覆計画にはSORのような「内部勢力」が関わっている疑いがあるとし、議会により厳しい国家安全保障法の制定を求めた。
これに対しSORのマリナ・タウベル総裁は、同党は反EUではなく、すべての派閥と良い関係を築きたいのだと話した。
しかしSOR党内には、ロシアの介入を歓迎すると認めている人々もいる。
キシナウから車で北に1時間ほどのところにあるオルヘイは、SORの支持基盤だ。我々はここで、同党のユーリ・ベレンキ議員を取材した。
「我々は恐れていない」と、ベレンキ議員は語った。「ロシアがモルドヴァを欲しいと言うなら、たった半日でできるだろう」。
ロシアの介入を望むかという質問に、ベレンキ氏ははっきりと答えた。
「個人的な答えはイエスだ。ロシアがいれば今よりも生活が格段に良くなる」
首都キシナウの大勢は、欧米との関係緊密化が、自国の独立と民主主義を守る方法だと考えている。サンドゥ氏率いる与党は、議会で安定過半数を占めている。
しかし、19日に議会前に集まった群衆の見方は異なる。こうした圧力が、モルドヴァの多様な社会の分断を深めるリスクがある。
大統領が懸念するように、ロシアはモルドヴァに侵入しようとしているのだろうか。これを抗議に参加したアラさんと友人らに尋ねると、そのリスクは明らかになった。
「もちろん、来ればいい!」とアラさんたちは叫んだ。
「ここに来てほしい。私たちはロシアの一部になりたい!」