出生率を改善させる政策はない…各国の過去数十年のデータから見えてきたこと

手厚い少子化対策を行うスウェーデンでさえ…

約20年前、オーストラリア政府は、ピーク時に子供1人あたり約6000ドル(約79万円)に相当する現金を支払う「ベビーボーナス」プログラムを試みた。

キャンペーンが開始された2004年当時、国の出生率は女性ひとりあたり約1.8人だった。

このプログラムにより、2008年までに出生率は約2.0まで上昇したが、プログラムが終了してから6年後にあたる2020年までに、数値は1.6まで低下。つまり、プログラムが最初に導入されたときよりも下がった。

ちなみに、ほとんどの先進国にとって、移民なしで人口を安定させるために最低限必要な数値は2.1である。

オーストラリアの人口学者であるリズ・アレンは、「あのプログラムはほとんど効果がなかった」と、米紙「ニューヨーク・タイムズ」に語っている。

フランスやドイツ、北欧諸国は、育児資金の提供や寛大な育児休暇政策、義務教育費の無償化などを通じて、出生率の低下を概ね食い止めてきた。

しかし、これらの取り組みの成功にも限界があり、「先進国のなかで2.1の出生率へ持続的に回復させられたは国ない」。少子化対策を成功させている数少ない国のひとつと言われているスウェーデンでさえ、その効果の持続は不安定で、少子化を脱却できたとは言い難いと同紙は指摘している。
https://courrier.jp/news/archives/316689/