0001それでも動く名無し
2023/02/28(火) 13:38:43.27ID:5sJ2ZcPUahttps://manba.co.jp/manba_magazines/21809
それにしても見事なまでのビジネスモデルだと思います。ただ「新人起用」と「アンケート重視」、この二つは意味をよくよく考えると恐ろしいです。
椛島 この二つは、新入社員にとってはある意味で福音なんです。新人を大事に育ててアンケートで人気さえとれればいい、ということですから。例えば、ヒエラルキーって、普通どこの世界にもあったりしますよね。大御所がいて、やっぱりそこは単に実力勝負だけじゃない、難しい問題もあるじゃないですか。だけど、「ジャンプ」はそうじゃないんです。「新人起用」「アンケート重視」ですから。昨日まで全く無名だった才能が、大先生を押しのけて一瞬で大スターになるわけです。最近だと『鬼滅の刃』の吾峠さん。10年前は誰も知らなかった。でも、あっという間に一世を風靡してしまう。
――『鬼滅の刃』は1億5000万部を突破しましたね。
椛島 短期間ですごいですよね。だから、いまだに「ジャンプ」のビジネスモデルってものすごく機能しているんだと思います。と、ここまでは誰でも容易に想像がつくところでしょう。けれど、その意味をよく考えたら恐ろしく思えてきます。どういうことかと言うと、新人編集者、新人漫画家はいいんです。私なんかも入社後1年も経たないくらいで荒木飛呂彦さんに出会って、手塚賞に応募して、準入選を取って…そうやってステップアップしていく。とにかく読者の支持さえあれば、全くの新人漫画家であっても、担当者が新人でも、ブイブイ言わせられる可能性があるじゃないですか。だから新人はいいのですけど、逆に言うと、上に行けば行くほどすごくシビアなルールだと思うのです。
たとえば編集長も若い頃は誰かの担当をしていたわけじゃないですか。そうやって多くの先生方のご尽力のお陰で自分も編集長になれたわけだし、雑誌も伸びて成長してきたわけです。でも、人気がなくなったら、その先生方は新人起用の影の方に行っちゃうことになる。それはなかなか厳しいことです。実績はあって、お世話になった先生方です。でも、人気がなくなったら道を空けていただく。実際にそういう立場に置かれないと、そこをリアルに考える人はあまりいないと思います。どこの世界もそうですけど、業績を支えてきたような人に対しては、変わらぬ感謝とリスペクトというのは当たり前のことですし。でも時代の変化によって読者とズレてきたりもする。そういうときに「先生、ちょっと人気がないんで…」というのは、なかなかにシビアなことだと思います。そして、実際にそれをやってきたというのは、今考えてもすごい。「ジャンプ」が後発で、なまじ歴史が10年ぐらいしかないからできたことかもしれないですね。