新型コロナウイルス対策で安倍政権が全国に配った布マスク「アベノマスク」について、納入業者との契約単価や発注枚数を情報公開請求で開示しないのは不当だとして、
神戸学院大の上脇博之教授が国に開示などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は28日、国に開示を命じた。

 安倍政権は新型コロナの感染が拡大した2020年4月以降、全世帯に布マスクを2枚ずつ配布。会計検査院によると、高齢者がいる福祉施設や学校などにも配られ、契約総額は442億円に上った。

 政府は競争入札ではなく随意契約で17業者に発注し、業者名や業者ごとの契約額は公表したが、単価や発注枚数は明らかにされていない。

 上脇教授は20年4~5月、事業を所管した厚生労働省と文部科学省にマスクの納入業者との契約文書を情報公開請求したが、単価や発注枚数は黒塗りにされた。
ただ、開示された文書の一部に、「アベノマスク」の単価が143円だったことをうかがわせる記述があったという。

 教授側は「隠す必要がない情報。契約の経緯を検証する必要があり、国は文書を全面的に開示し、説明責任を果たすべきだ」と主張。
一方、国は開示によって企業の調達能力や営業方法が推測され、業者が不利益を受ける恐れがあるとして請求の棄却を求めていた。

https://mainichi.jp/articles/20230228/k00/00m/040/035000c