山口県阿武町。日本海に面し、豊かな自然に恵まれた人口約3000人のまちは農林水産業が盛んで「道の駅発祥の地」としても知られる。
そんな町で2022年春、新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金全額が誤って1世帯に振り込まれたことで、全国の注目が集まった。
一連の事件の判決が28日、山口地裁で言い渡された中、阿武町は今――。



 まずは、システムの改良や職員の事務処理能力の向上に取り組んだ。今回のような誤った振込依頼書が作成されないようにシステムを変更したほか、
全職員にも研修を実施。「役に立った」との声が多く、毎年続ける方針という。

 定期異動直後で手続きに不慣れな職員が担当した点も重視。異動の内示は従来4月1日の1週間前だったが、23年4月異動から10日前に早めた。
時間を確保することで、引き継ぎ文書を必ず作成するようにした。

 また、当時は銀行へのデータの受け渡しにフロッピーディスク(FD)を使っていたが、銀行側と協議して廃止。23年3月以降はDVDに変更する。

 中野副町長は「業務が滞り、町民に迷惑をかけ申し訳ない」と改めて謝罪した上で「これを糧に職員のレベルアップを図る以外にない。
継続した取り組みにするためにも、町のミスで招いた今回の事態をずっと忘れないようにしたい」と誓った。【近藤聡司】

https://mainichi.jp/articles/20230226/k00/00m/040/288000c