名古屋市南区で2017年3月、80代夫婦を殺害して財布を奪ったとして強盗殺人罪に問われた無職山田(旧姓・松井)広志被告(48)の差し戻し審の裁判員裁判で名古屋地裁(森島聡裁判長)は2日、求刑通り死刑判決を言い渡した。

【写真】東京拘置所の「刑場」の「執行室」。右奥の床から壁づたいに取り付けられた金属の輪にロープを通し、天井の滑車からつり下げる。赤線の四角部分が踏み板

 差し戻し前の一審は強盗殺人罪の成立を否定して殺人と窃盗の罪を適用し、無期懲役(求刑死刑)を宣告。二審は「強盗目的を優に推認できる」として審理を差し戻し、最高裁も被告側の上告を退けた。

 差し戻し審で検察側は、金銭に困窮した被告が借金返済のために強盗目的で犯行に及んだと強盗殺人罪の成立を主張。差し戻し前の一審と同様に死刑を求刑した。

 これに対し、弁護側は被害者を殺害後に金品を盗むことを思いついたと述べ、強盗目的を否定。殺人と窃盗の罪による無期懲役が相当だと反論していた。

 起訴状などによると、被告は17年3月1日、名古屋市内の大島克夫さん(当時83)方で克夫さんと妻たみ子さん(当時80)を刺殺し、現金1227円などが入った財布を奪ったとされる。