できる限りのことはやれた。アリゾナでの最終登板を終えた藤浪は、充実した表情で約1カ月半に及ぶキャンプ生活を振り返った。「もちろん、完璧というのはなかなかですが、いい準備、いい調整ができたと思います。体の状態もいいですし、いい1カ月半だったと思います」。公式戦を想定したブ軍戦では、4回に3連続四球と2暴投で2失点したものの、その後は修正。最速98マイル(約158キロ)に対し、「最遅」は71マイル(約114キロ)のスローカーブと、44キロの球速差で安打は許さず、球数も予定通りのジャスト90球。最終調整を締めた。

注目のデビュー戦は、大谷が中軸に座るエ軍が相手。オフに補強を進め、スキのない打線になった。藤浪は「大谷1人じゃないですし、いい選手がいっぱい並んでいるので、そこだけに集中し過ぎて散漫になってるようじゃ話にならないので…。もちろん楽しみですし、楽しみにしてくださる方もいると思うので、頑張りたいとは思いますけど、そこだけじゃないので」。新人とはいえ、先発2番手として計算される立場だけに、大谷1人にフォーカスするわけにもいかない。「仮に打たれても、チームが勝てばいい」は、偽りのない本音だった。

この日でキャンプを打ち上げ、試合後はチャーター機で本拠地オークランドへ移動した。162試合の公式戦は、30日に開幕する。「チャレンジなので思い切って勝負したいですし、その場で投げられる喜びを感じながら、思い切ってプレーできればなと思います」。すっかり日焼けした藤浪が語る抱負は、最後まで力強かった。

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