テレビ熊本「公表するなら社名伏せて」コロナ助成対象外の旅行商品販売で県に要求

新型コロナウイルス禍の経済対策で熊本県が実施した旅行割引事業「くまもと再発見の旅」を巡る旅行業者の不適切な助成金受給問題で、テレビ熊本(TKU)の関連会社TKUヒューマン(熊本市北区)が対象外の旅行商品を販売して助成金を受け取った事案を公表する場合は会社名を伏せるよう、テレビ熊本役員が事務局のJTB熊本支店を通じて県に要求していたことが30日、複数の関係者への取材で分かった。

 不適切受給は1月中旬、対象外の周遊切符を組み合わせた日帰り旅行商品で助成された阪急交通社熊本支店に県が約1500万円の返還を請求したことで表面化した。関係者によると、県が同種事案を調査していた1月下旬、テレビ熊本の本松賢会長とTKUヒューマンの加藤友信会長らがJTB側に「県がTKUの社名を公表しないと約束すれば(受給分は)自主返納する」「A社、B社というふうにしてほしい」などと申し入れた。JTB側は申し入れ内容を県に伝えた。別の関係者によると、TKUヒューマンの現場担当者からも複数回、県側に同趣旨の働きかけがあった。
 テレビ熊本の担当者は熊本日日新聞の取材に「役員らは、そのような発言を一切していないと言っている」と話した。

 熊日は2月9日付朝刊で、TKUヒューマンが対象外の旅行商品で助成金など約2460万円を受給していたことを報じた。蒲島郁夫知事は同日の定例会見で社名に触れず「コロナ禍で苦しむ観光業者を支援する事業で不適切な運用がされたことは残念」と発言。直後の補足説明で県の担当者が社名を正式に公表した。

 今回のケースについて専修大の山田健太教授(言論法)は「報道機関が自らが関係する不祥事を隠そうとしたのであれば、視聴者らの信頼を失う行為で極めて大きな問題だ」と指摘している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/25019778741bcf97a4577ca0959e481ab22259c6