読売新聞社の統一地方選前半戦の情勢調査で、自民党は支援する知事選候補がおおむね堅調な中、保守分裂の奈良での苦戦に危機感を強めている。

日本維新の会は「お膝元」の大阪府知事・市長のダブル選に加え、奈良でも勝利し、隣接する和歌山での衆院補欠選挙へ弾みを付けたい考えだ。

自民は、知事選で唯一の「与野党全面対決」となった北海道と、事実上の与野党対決と位置付ける大分で優位に戦いを進めている。
福井、島根両県の推薦候補も優勢で、遠藤総務会長は「(歴史的に野党が強い)大分はもっと厳しい戦いになるイメージでいたが、思いの外順調だ。内閣支持率回復の追い風を受けている」と分析した。

 ただ、保守地盤が厚い奈良では、2人の自民系候補が対立し、維新に「漁夫の利」を許しかねない状況だ。
知事の座を奪われれば、維新に県内で勢力拡大を許す恐れもある。自民幹部は「候補の一本化ができていれば、もっと有利な戦いができるのに」と悔しがる。

 維新は勢いづいている。現職が戦う大阪府知事選だけでなく、前代表の松井一郎氏が引退して新人を擁立した大阪市長選でも先行しているためだ。遠藤敬国会対策委員長は「改革路線を維持してほしいという有権者の意識の表れだ」と胸を張る。

 維新は23日に投開票される衆院和歌山1区補選を重視しており、統一地方選前半戦の近畿圏での好結果は「直後の補選に大きく影響するはずだ」(馬場代表)と期待感を持っている。

 一方、立憲民主党は、自民と直接対決となった北海道で後れを取っており、巻き返しに懸命だ。北海道は自治労などの労働組合が強く、かつては「民主王国」とも呼ばれた。
長妻政調会長は「北海道には底力がある。何とか追い上げたい」と語った。

 自民系がリードする大分では、立民は23日投開票の参院補選に候補を擁立している。
岡田幹事長は「知事選の候補は政党色を出さずに戦っている。結果は(与野党対決となる)補選とはリンクしない」と指摘した。

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