これを予言していたのが阪神で長らく統括スカウトを務め、才木、湯浅らの獲得を決めてきた佐野仙好氏。昨年12月、企画の取材で森下の話題になった際、「森下はもちろん長打力もあるし、ホームランも打てると思う。それよりも場面、場面で仕事ができるバッター。単に打つだけでなく、状況に応じていろんなことができる選手。いい場面で打つ、仕事ができるバッターという印象」と語っていた。

 さらに「森下はそうじゃない。飛ばす力は持っているんだけど、穴が少ない感じ。現状のチームを見ても、佐藤輝、大山はボールを飛ばす力があるバッター。森下は逆に対応力があると思う」と評した佐野氏。その言葉は自身以来の中大から阪神へドラフト1位で入団した選手への期待ではなく、プロとして、スカウトとして語った目線だった。

 それも「高校2年の時に初めて見させてもらったんだけど、打つだけじゃなくて、肩も強いし、走力もある。その時点で(リストに)挙げようかなという選手だったけど、大学に進学が決まったって言われて」と東海大相模時代から森下の成長を追ってきたからこそ。活躍するためには「自分のアピールするものを早く見つけること」と話していたが、開幕から4試合で森下は居場所をつかんだと言っても過言ではない。