私は11年から16年までNPB審判員を務めた。当時、よく聞かれた質問がある。「好きな球団や選手に有利な判定をしたことがあるか―」。答えは必ずノーだった。審判員として公平を期すため、そんな当たり前の理由とは別に明確な2つの理由があった。

 (2)こちらも生活が懸かっている。

 テレビ中継されている試合で誤審があった際に「選手は生活が懸かっていますからね―」なんて解説を聞いたことがある。それは審判員も一緒だ。全審判員は1年契約で、誤審をすればするほど「契約更新なし」が近づく。かといって年俸は一般のサラリーマンと大差のない金額。自分や家族の生活よりも特定の選手を優先してジャッジする審判員がいたら、顔が見てみたい。

 以上が私が「ひいきしたことがない」と言い切れる理由だ。審判員を退職して7年経った現在も聞かれる「恒例の質問」。次回からは「これを読んでください」と言おうと思う。

この記者曰くジャンパイアはないらしいで